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Feb 03, 2013

『トスカの接吻』

 深水黎一郎『トスカの接吻――オペラ・ミステリオーザ』(講談社文庫)というミステリーがあるのを,文庫になって初めて知った(初版は2008年)。読み始めたらおもしろくて,最後は目的地なく電車に乗って読んだ。キザだけど憎めない探偵役の瞬一郎は,ヨーロッパを何年か放浪していてオペラにも美術にも詳しいという設定である。
 『トスカ』第2幕,トスカがスカルピアをナイフで刺す場面で,小道具が本物のナイフにすり替えられ,スカルピア(役の歌手)が舞台上でトスカに殺されるというのが第1の事件である。主に瞬一郎の口から,オペラの制作過程や舞台裏,演出家や歌手の言動が詳細に語られるが,これが(たぶん)ほぼ正確で,この点「さよなら何とか」(1冊半しか読んでいないが)とは大違いである。
 帯での宣伝や解説によると,これは「芸術探偵」シリーズの第2作で,ほかに『エコール・ド・パリ殺人事件』『花窗玻璃――シャガールの黙示』『ジークフリートの剣』が刊行されているというので,先日,神保町郷愁散歩に出かけた際に3冊とも買ってきた。このシリーズ以外にも『五声のリチェルカーレ』など,気になるタイトルがいくつかある。

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Comments

このエントリを読んで電子書籍をダウンロードして読みました。おっしゃるとおり舞台関係の描写はミュンヘンでもほぼこの通りです。「スポレッタ黒幕演出」は面白いアイデアですね。わたしもそれは見てみたい。(^_^)
ミステリーとしての筋の組み立て方にはそれほど斬新さを感じませんでしたから、他の「芸術探偵」シリーズを読もうかどうかは少し迷っています。

電子書籍はわたしのような外国在住の人間にはありがたいです。他のジャンルでもどんどん電子書籍化されると嬉しいですね。

Posted by: 【篠の風】 | Mar 30, 2013 at 09:16 PM

コメントをいただいていたのに気づかず,失礼しました。私は日頃はミステリーをあまり読んでいませんが,第1作の『エコール・ド・パリ殺人事件』の方が素直に読める感じがしました。若い主人公がやたら博学でキザなのは同じですが。

Posted by: 家主IZK | Apr 20, 2013 at 11:08 AM

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