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May 25, 2013

メト・ライブビューイング『ジュリオ・チェーザレ』

 メト・ライブビューイング(「原題」は Live in HD という)の今シーズン最後の演目,ヘンデルの『ジュリオ・チェーザレ』(「主催者側発表」は『ジュリアス・シーザー』)を東劇で見た。客もまあまあの入り。正味229分の長い上演だが,無類のおもしろさだった。
 主要な7人の役のうち,カウンター・テナーが3人,ズボン役が1人なので,倒錯組が多数派。一応タイトルロールのカエサルもカウンター・テナーで,声はあまり勇壮ではない。そんな中で,少数派のひとりクレオパトラのナタリー・デセイが踊りまくるのが最大の特徴だった。最初グラインドボーンで上演されたプロダクションだという。

 前に書いたことがあるが,この曲,1980年のベルリン州立歌劇場(当時は東ベルリン)の来日公演で見たことがある。そのときの曲目は『魔笛』『セヴィリアの理髪師』と『ジュリオ・チェーザレ』(当時の表記も『ジュリアス・シーザー』)で,予想に反して,この伏兵ジュリオがいちばん良かった。テオ・アダム,カサピエトラ,フォーゲル,ロレンツという東独のベスト・メンバーと指揮(!)のシュライヤーによる上演は,かなり大胆な演出(クレオパトラが半裸でシーザーを誘惑したりする)とあいまって,長丁場を飽きさせなかった。それ以来,生の舞台には接していない
 今年になって,メトと同じくナタリー・デセイがクレオパトラを歌ったパリ(ガルニエ)での上演のDVDを買った。こちらは,白い衣装をはだけて,透明度80%のぴったりした薄いシャツ(?)のみの身体をあらわにする。これに比べると,今回のメトでは外見は控えめだったが,歌はより充実していた。
 メト・ライブビューイングでは,これまでに『オルフェオとエウリディーチェ』(グルック),『ロデリンダ』(ヘンデル),『魔法の島』(ラモーほかの音楽)といったバロックのオペラを見た。新しい扉が開いて,老後の楽しみが増えた。

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Comments

6月24日のフランス映画祭2013でナタリー・デセイ出演の『椿姫ができるまで』が上映されます。P.O.

Posted by: P.O. | May 25, 2013 at 03:32 PM

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