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June 2013

Jun 30, 2013

酒場の祈り

 先日久しぶりに神田「まつや」に行った帰りに,2月に火事になった「かんだやぶそば」がどうなっているかと思って見に行った。最初気づかず通り過ぎ,いやここのはず,と戻ったところはコイン式駐車場になっていて,「かんだやぶそば 新店舗建設予定地」と書いてあった。
 向こう側のビルに残る煙の跡が痛々しい。火事の翌週ぐらいに来たときは,あの古い建物は少なくとも外側は無事のように見えたのだが,やはり建て替えせざるを得ない状態だったようだ。駐車場でせいぜい日銭を稼いでほしい。Aap6298574_2


 何か月かに一度わざわざ行くごく大衆的な居酒屋で,先日隣に座ったのは後期高齢者入りも近いと思われる年代の白髪のおじいさんだった。飲み物が来ると,彼はしばしもごもごと祈りを捧げてから飲み始めた。それだけならそう変わったこととは思わなかったが,そのおじいさんは,飲み物やつまみが来るたびに,まず店員さんに感謝し,続いて祈るのだった。しかも2回目以降は最初より言葉が明瞭で,「亡くなった妻チヨコのご冥福をお祈り申しあげます」と言っているのが聞き取れた。
 祈りは数分ごとに計5,6回捧げられた。チヨコ夫人と共に静かに飲んだ上品なおじいさんは,少し足元がふらついていたが乱れることもなく静かに店を後にした。

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Jun 28, 2013

城に住む

 先ごろ,千代田区内の某やんごとなき家の夫婦が結婚二十周年を迎えた。
 二十年前のその結婚の日は,どういう名目だったか忘れたが,臨時の祝日になった。これ幸いと,日曜はいつも混んでいるという某水族館に子ども連れで行ったら,同じことを考えた人で大混雑していた。(「先代」のことは →参照

 その某家で「お妃探し」が行われていた二十数年前のこと,徳川将軍家の血を引くある女性の名が候補としてあがったことがあった。そのとき徳川家筋は,「家を貸しているのに,嫁までやることはない」という反応だったという。

 その徳川家だが,将軍の正室の子が将軍になったのは,3代家光ただ一人だというのを最近知った。

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Jun 23, 2013

水戸――ガンバ・大相撲

 先日知人が,水戸で開かれたある学会に出席するために神戸発・茨城空港行きの飛行機に乗ったら,ガンバ大阪のメンバーといっしょだったという。一瞬,鹿島へ行くのかと思ったが,そうではない。ガンバは今はJ2なので,水戸で水戸ホーリーホックとの試合があるのだった。
 神戸―茨城という便があるのを今回初めて知った。J2のチームは北海道から九州までまんべんなく散らばっているから,移動の時間・費用の負担は大きい。こうした安めの航空会社の定期便の存在は,各クラブにとってありがたいことだろう。

 4月半ば,川沿いの春を訪ねて水郡線に乗った。帰りの水戸からの特急で,大相撲の巡業から帰京する一行といっしょになった。見たところ,力士としてはそう大きい方ではない人たちで,一応1人分の座席に座っていたが,椅子が悲鳴を上げているような感じがした。

注1 ホーリーホックという文字列を見るとついワーカホリックという言葉を連想してしまう。
注2 [豆知識]水戸の郵便番号は 310 です。

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Jun 19, 2013

新国立劇場の5-6月――『ナブッコ』『コジ・ファン・トゥッテ』

 新国立劇場の5-6月は「読み替え演出月間」で,共に時代を現代に移した『ナブッコ』(新制作)と『コジ・ファン・トゥッテ』(2年ぶりの再演)が相次いで上演された。
 読み替えが自然なのは圧倒的に『コジ』の方。2年前のプレミエのときも思ったのだが,もともと荒唐無稽な話ではあるけれど,2組のカップルと仕掛け人2人だけのドラマなので,どんな時代に持ってきてもそれなりの話にはなる。舞台はキャンプ場なので,軍隊に招集されるあたりがちょっと苦しいが,なんども見た『コジ』の中でも屈指の説得力だった。歌手たちがまったく普通の体型で自然に演技しているのも,その説得力に貢献した。
 その点,個人でなく民族・宗教の対立が基本の『ナブッコ』は,どうも収まりが悪い。舞台はショッピングモール,開演前にすでに幕は上がっていて,舞台の真ん中にエスカレーター(ただし動かず,階段として使用される)がどーんとあり,客がうろうろしている。
 開演してからも,いろいろなことが起きて目を離せない舞台だったが,人の動きを追うのに追われて疲れた。音楽はきわめて充実していたが,ヘブライ人の合唱は何をなつかしんでいたのかなど,対立の構図がどうもぴんとこない。
 『ナブッコ』の休憩時のホワイエでは,『コジ』の出演者たちが並んで「客引き」をしていた。

 メト・ライブビューイングで,舞台を1950年代のラスベガスに移した『リゴレット』のプレミエが3月に上映された。こちらは,権力者とその取り巻き,道化とその娘という関係は原曲通りなので,まったく違和感なく見た。

 『コジ・ファン・トゥッテ』は,今回の上演で見た回数が15回となり,モーツァルトの4大オペラすべてが15回で同率首位に並んだ。スロットマシーンの大当たり状態というべきか。

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Jun 15, 2013

なだいなだ氏――夏の思い出

 なだいなだ氏が,6月6日に死去した。あと2日で84歳になるところだった。
 私は同氏の小説は読んでいなくて,6回も芥川賞候補になったというのも今回初めて知った。それでもエッセイなどはある程度読んでいたし,郷里・横須賀にある国立療養所久里浜病院の所長をしていたりしたということもあり,なんとなく親しみを抱いていた。
 実はこのブログに,なだいなだ氏一家との遭遇のことを書いたことがある。それは 2008年8月の「バイリンガル――夏の思い出」で,その項の「某氏」というのはなだいなだ氏だった。

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Jun 02, 2013

「春の祭典」のスコア

 ストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」が,1913年5月29日にピエール・モントゥーの指揮で初演されてから100年を迎えた。ということは,私がこの曲をLPレコードで初めて聞いてびっくりしたのは初演から50年ちょっとしか経っていなかったころだ,ということに気づいていささかの感慨にとらわれた。

 戦前,SPレコードにはしばしばオーケストラ・スコア(総譜)が付録として付いていて,そこには面の変わり目の箇所に該当のレコード番号が印刷してあった。たいてい粗末な紙に印刷した見にくいものだったが,戦死した伯父の遺したそうしたスコアが家にあったので,中学3年ぐらいからスコアを眺めるようになった。
 初めて自分で買ったスコアは,黄色い表紙の音楽之友社版の「新世界より」だった。当時国内版のスコアは,音楽之友社のほか,濃い水色のビニール表紙の全音楽譜,赤みがかった黄色の日本楽譜出版社のものが出ていた。
 高校2年のときだったと思うが,吹奏楽の楽譜を探しに東京の輸入楽譜店に行って,輸入物のスコアというものがあるのを知った。そこで「春の祭典」のスコアを見つけた。Boosey and Hawks 社の薄茶色の表紙,B5版に近い大きなスコアだった。今でも覚えているが値段は880円,というのは今の感覚では5000円ぐらいだろうか,これを買うのに翌年のお年玉の大部分をつぎこむことになった。

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