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Aug 04, 2013

コーヒーはブラックで――喫茶店でのアルバイト

 遠い昔,学生時代の最後の年に,大学の最寄り駅そばの喫茶店でアルバイトをした。もともとサークルの仲間のたまり場・連絡所になっていた店だが,勤め人も多い店なので,コーヒーは120円と学生街より高く,学生食堂なら安い昼食が食べられるくらいの値段だった。当時はスタバはおろか,ドトールのような手軽な店もなくて,今思うと喫茶店(と雀荘)の全盛期だった。
 4月,授業が非常に少ない身分になったのでアルバイトをしなければと思っていた矢先に,その店に「アルバイト女子店員募集」という張り紙が出た。顔なじみのマスターに,「あのう,女の子じゃないとだめですか」と恐る恐る聞いたところ,「え,君ですか」とちょっと驚いたようだったが,翌日「採用」の返事をもらった。

 そのアルバイト中に学んだことで,40年後の今日まで影響が及んでいることがいくつかある。ひとつは,コーヒーはブラックで飲むという習慣が身についたことで,それまでも砂糖は少なめではあったが,朝と昼過ぎに店員に味見を兼ねて「支給」されるコーヒーを飲むようになって,砂糖なしがいちばんおいしいと思った。
 それから,これはコストを細かく知ったわけではないが,喫茶店の飲み物ではコーヒーがいちばん客にとってコスト・パフォーマンスが良いと思うようになった。1ドル308円(固定)の時代で,焙煎したコーヒー豆の値段は1杯あたり10円以上していたように思う。今はおいしい紅茶を出す店も少なくないが,かつては普通の喫茶店は紅茶にはあまり手間も金もかけていなかった。
 食事メニューはトースト(バター,スクランブルド・エッグ,ハム)とサンドイッチ(ハム,野菜,タマゴサラダ)だけで,やがてはこれも作るようになった。ハムトーストは今でもときどき作る。
 ほかに作り方を覚えたのはミルクセーキとプリンである。ミルクセーキは,卵黄と牛乳をシェーカーで混ぜて作った。プリン(カスタード)は,店では作る機会はなかったが,ベテラン店員から教わって家で作ってみたりした。その店員はプリンを含め料理全般がマスターより手慣れていて,店員たちはマスターの作るプリンを密かに「マスタード・プリン」と呼んでいた。

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Comments

ご無沙汰しています。つい最近から 飯塚さんのblog拝見しています。なつかしい神保町界隈のから見せてもらっています。だんだん本が読めなくなりましたが、飯塚さんのエッセイを読ませてもらう老後の楽しみが増えました。わたくしは今コンビニの早朝レジと食堂でのバイトをしています。食には興味があり 飯塚さんのエッセイは楽しく面白いです。 難しいのはさすがと思いながら… 喫茶店のお話についお便りもうしあげたくなりました。いつもお年賀状頂きながら ご無礼している同期の桜より

Posted by: 川上智子 | Aug 09, 2013 at 10:03 PM

コメントありがとうございました。神保町関係の記事は左欄の「CATEGORIES」の中の「神保町」をクリックすると出てきます。
ところで,4月にいただいたアドレス変更通知のアドレスあてにメールを送ったら戻ってきてしまいました。もう一度送っていただけますか。

Posted by: 家主IZK | Aug 14, 2013 at 03:57 PM

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