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Mar 23, 2014

ドヴォルザーク――『ルサルカ』と管楽セレナーデ

 メト・ライブビューイング(「原題」は The Met: Live in HD)は,前のシーズンには前半に精勤したのだが,2013-14 シーズンは出遅れてしまい,3月の『ルサルカ』が初めてだった。全10回のうちの5回目だから,かろうじて前半にすべりこんだことになる。
 オットー・シェンクの「ト書きどおり」の古風で大がかりな舞台は,いかにもメトらしい。いつもこの上映の案内役をつとめているルネ・フレミングがタイトル・ロールで,姿はやや老けてきたが,クリーミーな声は健在。台本のせいか作曲者のせいかわからないが,このオペラは第3幕が長いのがちょっと難(メト版では第1幕より長かった)。話としては悲劇の結末へ向かって一直線なのだが。
 ドヴォルザークは大オペラ作曲家である。なにしろプッチーニもワグナーも普通に上演される作品は(数え方にもよるが)それぞれ10曲なのに対し,ドヴォルザークは11曲完成させているのだから。
 この10日後に,新国立劇場でコルンゴルトの『死の都』を見た(前述)。『ルサルカ』は1901年初演だから,『死の都』の20年前ということになる。聞いた感じは大いに違うが,美しい旋律が巧みに転調しながら惜しげもなく連綿と奏でられるなど,似た点もある。ドヴォルザークもけっこう半音階風味を加えているし。なお,『死の都』の指揮者ヤロスラフ・キズリングというのは,前に新国立劇場で『ルサルカ』を振った人だった。

 ドヴォルザークの魅力にひとつは,優美・典雅な中にときどき「田舎風」の部分があって「お里がばれる」ところだと思う。そして,オーケストラの曲だと,そういうところにはしばしばコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)が登場する。『ルサルカ』でもそうだったし,宗教曲(「スターバト・マーテルなど)にもそういう場面がある。
 もっとも田舎じみていて土俗一辺倒なのは,管楽セレナーデの第1,4楽章である。昔,誰かが楽譜を買ってきて,大部分のメンバーはまったく聞いたことがなかったこの曲を演奏してみたことがあった。足を踏みしめるような最初のニ短調のマーチで,その泥臭さに演奏しながらびっくりし,笑ってしまった。少なくともセレナーデとしては類がない。
 しかし,この曲も第2,3楽章は,弦楽セレナーデとは趣が違うが,なかなか優雅で美しい。

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