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Nov 16, 2014

ヒトラーの演説

 少し前に,高田博行著『ヒトラー演説――熱狂の真実』(中公新書)を読んだ。ヒトラーの演説の用語やレトリックを分析しながら,弁論術をどのようにして身につけ,活用したかを明らかにした本である。ヒトラーは第一次大戦後のヴェルサイユ体制で疲弊したドイツ人の心をつかんだが,そのために演説と,それを多くの人に伝える拡声器とラジオがきわめて重要な役割を果たした。またヒトラーは,発声と演技についてオペラ歌手に指導を受けたという。
 ナチスドイツでは,外国のラジオ放送を聞くことは禁止されていた。しかし電波は国境を越えてやってくる。外国からドイツ向けの放送も行われていて,一部の人たちはナチスの統制によらない世界情勢についての情報を得ていた。これは,後の東ドイツと同様である。
 ヨーロッパでは1939年9月に戦争が始まったが,1941年になると東方戦線(対ソ連)は膠着し,その年の秋以降,ヒトラーがラジオのマイクの前に立つ回数は急速に減っていく。太平洋戦争の開始は1941年12月である。日本が参戦するより前の段階で,ヒトラーが国民に語りかける意欲を失っていたというのは,この本で初めて知った。これでは,「同盟国」日本の立つ瀬がまったくない。

 土曜日の新聞に,オペラ演出家の西沢敬一氏の訃報が載った。西沢氏演出の舞台は,1970年代から見ているからもっとずっと年上の人かと思ったら,たったの70歳だった。二期会を中心に,見たオペラは14回で,鈴木敬介氏,粟国安彦氏に次いで多い。

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