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Jun 01, 2015

今春の新国立劇場

 新国立劇場の2014-15シーズン後半は,『マノン・レスコー』『運命の力』『椿姫』『ばらの騎士』と進んで,残るは6月の松村禎三『沈黙』のみとなった。
 3月の『マノン・レスコー』は,プレミエを目前にして震災のため中止になった新演出が,4年たってようやく上演となったもの。歌手も4年前の予定とほぼ同じ人がそろった。このオペラは,第1幕は飲んで騒いでにぎやかだが,だんだん寂しくなって,第4幕は2人で砂漠をさまようという究極の竜頭蛇尾。最終幕全体がまったく2人だけというオペラは他に思いつかない。
 5月の『椿姫』は新制作。パーティーの場面も含めて舞台装置は抽象的でブルー系が基本で,あえて華やかさを排除したものだった。意味不明のところもあったが,音楽をじゃましないのは良い。ヴィオレッタがちらし写真ではおかめ顔で,太ったおばさんかと覚悟していたが,実際には太くなくてまあまあ若く,歌も良くて一安心。ジェルモン父子は,悪くはないがいまひとつぴりっとせず。

 続いてのジョナサン・ミラー演出の『ばらの騎士』はプレミエが2007年(→参照),再演が2011年4月で,今回が3回目。再演のときは震災後初めてのオペラで,出演者がばたばた変わったりしてやや落ち着かない上演だったが,今回はかなりの成熟を見せた。時代設定を初演(1911)のころに移しているので,舞台装置は伝統的なものとは違うが,具象的ですっきりとしている。ミラー演出の常で窓の外から降り注ぐ光が美しい(光のほか雨も降り注ぐ)。
 元帥夫人は,2007年のドレスデンの来日公演で同じ役を歌った人だった。美しくコントロールされた声。オックスは上品で貴族の風格があり,年の差はあるけれど,これならゾフィーだってまんざらでもないのでは,と思ってしまった。オクタヴィアンは美人すぎて男らしくはない。ファーニナルは立派すぎて,成り上がり者には見えない。(以上,言いがかり)
 ピットを深くしていたせいか,オーケストラの響きが曇り気味で,指揮も最初は固い感じだったが,やがて調子が出てきて,第1幕後半以降はなかなかの職人芸を聞かせてくれた。

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