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Nov 29, 2015

温度感覚の東西

 郷里・横須賀には米軍基地があったので,町中をアメリカ人が歩いているのは普通の風景だった。子供のころは,米国の景気が良く,ドルも高かったので,アメリカ人は金持ちという感じがしていたが,私の学生時代のころには日本が高度成長を遂げ,ずいぶん様子が変わってきて,もっぱら米兵相手だったドブ板通りも急速に「普通の街」になった。そして,ふと気がつくと,若い米兵はみな自分と同世代の若者なのだった。
 70年代ぐらいから,飲み物の自動販売機がしゃべるようになった。最初のうちは商品が出るときに「ありがとうございました」と言うという程度のものだったが,当時の米兵には非常におもしろいものだったらしく,仲間で飲み物を買うと,自販機の言葉に対して「アリガトゴザイマス」と言ってふざけて頭を下げたりしていた。

 当時気づいたことのひとつに,アメリカ人には寒いときでも半袖で歩く人がいるということがあった。冬はさすがに多数派ということはなかったが,真冬でもちらほら見かけることがあった。
 アメリカ人は寒くても半袖というのは,その後あちこちで見て,けっこう普通のことだとわかった。感覚が鈍いのかと思っていたのだが,もっと後で知ったところでは,そもそもアメリカ人(西洋人一般?)は平熱がかなり高く,寒さに強いらしい。血液の比重が日本人より大きくて,熱を多く蓄えているから,という説明があったと思う。
 これと逆のような感じもあるが,鹿島茂センセイが「西洋料理はぬるい。スープも熱々ということはまずない」という指摘をしていた。確かに,和食の店だと味噌汁だけは常に暖まっていて,冷めにくい木のお椀で出てくるのに対し,スープは表面積の大きい皿で出てきてどんどん冷める。
 究極の冷めない料理はなんといっても鍋。東京にも先週,ようやく鍋にふさわしい寒さが訪れた。

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