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Jan 12, 2016

世の中でいちばん恐ろしいもの

 子供のころ読んだ日本の昔話集に「古家のもり」という話があった。
 ある雨の夜,泥棒が古い家の天井裏に忍び込んだところ,住民の老夫婦の会話が聞こえた。「この世でいちばん恐ろしいものは?」「なんといっても古家のもりだな」「こんな夜は,来るかもしれん。ああ恐ろしい」 「もり」は「漏り」で,雨漏りのことなのだが,泥棒は何か魔物でも来るのかと思ってあわてて退散した,という話である。
 当時の家は非常に古い木造だったが,さすがに雨漏りがして困るということはなかったので,読んでもぴんとこなかったけれど。

 大人の男にとって日常生活で遭遇する可能性のある「いちばん恐ろしいもの」は,痴漢の冤罪である。防衛医大の先生の裁判の例を見るまでもなく,痴漢は反証がきわめて難しい。居酒屋での知り合いが,痴漢にされて(本当に冤罪かどうかはわからないが)結局仕事を辞めざるをえなくなったと聞いたこともある。
 今の私は無職になって失うものはあまりないが,混んだ電車の中では本を両手で持つ(または片手は吊革をつかむ)ようにしないと,という感覚は今もある。

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 ソプラノの中沢桂さんの訃報が新聞に出た。私がよく見ていた70年代から80年代にかけての二期会を支えた歌手である。当時,ルチアをちゃんと歌える日本人は他にほとんどいなかったのではないだろうか。

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Comments

中沢さん、お亡くなりになりましたか。ご冥福をお祈り申し上げます。
結局、実演は聴けなかったかな…

Posted by: リンデ | Jan 12, 2016 at 12:20 PM

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