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Apr 21, 2016

4月の新国立劇場――『ウェルテル』と『アンドレア・シェニエ』

 新国立劇場では,3月の『イェヌーファ』に続き,4月は『ウェルテル』『アンドレア・シェニエ』と上質の上演が続いた。
 このうち,マスネの『ウェルテル』は新制作。今シーズンの新制作『ラインの黄金』『イェヌーファ』は他劇場との提携によるものだったが,今回は純粋な新制作である。『カルメン』を例外として,どこでもフランス語オペラを見る機会は多くないが,新国立劇場でもこれまで『ホフマン物語』(3回),『スペインの時』とマスネの『ドン・キショット』『マノン』といったところだった。
 指揮者とタイトルロールが3月になってから交代する(→参照)という混乱を乗り越えて上演にこぎつけた『ウェルテル』は,美しい舞台に美しい声で,大いに楽しめる公演だった。特に代役で登場したディミトリー・コルチャックは若々しい声で,ウェルテルにぴったり。アルベール役のアドリアン・エレートもドン・ジョヴァンニに続く好演。
 それにしても,このウェルテルという男はどうしようもないやつで,人妻になったシャルロッテ以外は目に入らない。妹のソフィーにしておけばいいのにと誰しもが思う,と思う。これじゃ,仮に思いかなってシャルロッテと結ばれたにしても,まともな生活はできそうにない。
 今までよく知らなかったのだが,ヒロインのシャルロッテは8人きょうだいで,お母さんが亡くなっているのだった。しかもきょうだいでクリスマス・キャロルを歌ったりしている。第2幕で山の景色が見えたときに,ちょっと似た家庭環境の『サウンド・オブ・ミュージック』を思い出した。

 『ウェルテル』はドイツを舞台にしたフランス語のオペラだったが,続いてはフランスを舞台にしたイタリア語のオペラ,ジョルダーノの『アンドレア・シェニエ』。フィリップ・アルロー演出の3回目で,良い歌手がそろって高水準の上演になった。
 このオペラはフランス革命の初期1789年から94年の物語で,曲の完成が1896年だというから,ちょうど100年前の物語に作曲したことになる。今でいえば第一次世界大戦の時代の話に曲をつけるという感じだ。

 新国立劇場の今シーズン,次は5月・6月の『ローエングリン』で,フロリアン・フォークトが再び登場する。

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