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May 2016

May 30, 2016

再び世界水準,フォークトの『ローエングリン』

 新国立劇場の『ローエングリン』は,前回2012年のプレミエのとき(→参照)と同様,タイトルロールのクラウス・フロリアン・フォークトが絶好調で,最弱音から最強音まで美しい声を披露してくれた。他の主役4人は前回と違う人だが,いずれも立派だった。そのうちエルザは,顔をオペラグラスで見ると年がわかってしまうが,ほっそりしていてスタイル抜群で(前回のエルザは,特に太っているわけではなかったが,少しずんぐりしていた),2幕で高いところにすっくと立った姿が美しく,しかも声は澄んで強靱だった。ちょっと強靱一方という感じもあったが。
 前回の時,フォークトというのは原綴はわずか4文字 Vogt で短い名だなと思ったのだが,今回の英文のメンバー表を見たら,5人の西欧人歌手の姓が全員アルファベット5文字以下だった(Bauer,Uhl,Linn,Lang)。こういうことはかなり珍しい。(Lang はちょっと長そうな名前だが。)

 フォークトは元はバリバリのホルン奏者で,ハンブルクの州立歌劇場に数年いる間にワグナーのほとんどの曲のホルンを吹いたことがあるという。公演後に聞いたところでは,この日の開演前,久しぶりにホルンを手にして,東フィルの人たちと共に『魔弾の射手』の一節を吹いたとのこと。ジークフリートを歌って自分で舞台上でホルンを吹けば,大谷も真っ青の二刀流になるのだが。
 フォークトの次の大きな予定は,バイロイトの今年の新制作の『パルシファル』で,来月からリハーサルが始まる。来年5月にはバイエルン州立歌劇場で『タンホイザー』のプレミエがあり,これは来年秋,東京でも上演される(今回初めて,「フォークト,次はタンホイザーだ」という予告チラシが入っていた)。

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May 27, 2016

新駅「小田栄」探訪

 久しぶりの鉄話――先月のことだが,3月26日に開業したJR南武線の新駅を訪ねた。川崎の次の駅・尻手(しって)から分岐して臨海地帯に向かう通称浜川崎支線には3つの駅があるが,その2つめの駅川崎新町と終点浜川崎との間に小田栄(おださかえ)駅ができたのだった。
 武蔵小杉から南武線に乗り,分岐駅の尻手で乗り換えた。車内には開業のポスターが掲示されている。乗り換えて5分ほどであっけなく小田栄駅着。真新しい片面ホームが,上下線向かい合わずにずれて設置されていた。
 掲示によれば,当面の間,運賃計算に関しては小田栄は川崎新町と同一の駅と見なされるという。駅間距離を新しく設定するとシステム全体に変更が及ぶから,消費税増税まではこれで済ませようということなのだろう。
 あとこの駅がおもしろかったのは,駅前のX字型の交差点の真ん中に踏切があること。踏切にはもちろん警報器があるが,道路用の信号はない。一角にはバス停もある。
 昼間の電車は1時間に上下各2~3本だが,しばらく駅で見ていたら,けっこう長大な貨物列車がかなり頻繁に行き交っていた。鉄路のたくましさを見た思いがした。

 5月某日,開通から1年遅れで北陸新幹線・長野―金沢間に初乗り。
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May 17, 2016

横須賀の料亭「小松」全焼

 16日夜,某所でテレビのニュースがかかっていて,「かつて海軍大将・山本五十六らも通った老舗料亭が…」と言っているのが聞こえた。あ,小松のことだな,と思って見ると,激しく炎が上がっている画面が目に飛び込んできた。このところ湿度が低かったし,木造の建物はひとたまりもなかったことだろう。
 郷里・横須賀の料亭「小松」は,だれも呼んでくれる人がいなくて入ったことはないが,海軍御用達の高級料亭として,親またはそれ以前の世代から住んでいる者はだれでも一応は知っている。私の実家からは,まっすぐの道はないので歩くと15分ぐらいかかるが,直線距離は500mぐらいしかない。

 下の写真は,2012年9月に通りかかったときに,古い立派な建物がちゃんとがんばっているなということで写したもの。もう1枚は,その真向かいの私立高校の出身選手応援の垂れ幕で,オリンピック後に銀メダルお祝いのメッセージが加わっている。今回調べたら,この学校は女子高だったのが2000年に共学となり,2013年に市内の別の場所に移転したとのこと。

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May 13, 2016

金沢文庫の「金沢百景――角田武夫が描いた失われた風景」

 連休以降,特に忙しかったわけではないのだが,更新の間隔が空いてしまった。それで,少し前の報告だが,4月の某平日に横浜の県立金沢文庫に行き,「金沢百景――角田武夫が描いた失われた風景」展を見てきた。明治から昭和まで横浜の小学校の教師・校長をしていた角田(すみだ)武夫(1884-1945)が,1933年から1941年ごろのどんどん変貌していく金沢八景地区を描いたスケッチ帖「金沢百景」を中心とする特別展である。
 金沢文庫・金沢八景は横浜市の南端の地名であると同時に京急の駅名でもあり,私の郷里・横須賀からもすぐなのでなじみがある。小学校のころには金沢八景で潮干狩りをしたこともあった。金沢文庫では前にも,江戸時代からの金沢八景の浮世絵などの展示が行われたことがあった。今回の展示も,新聞で案内を見たときから行こうと思っていたのだが,4月になってから某SNSで,この画家が高校の同級生の祖父にあたることを知り,やっぱり行かなくてはと思い立った。もうひとつ,私の祖父も小学校の教師だったというのも特に親しみを覚えた要因になっている。

 いま「画家」と書いたが,角田の本職は小学校教師であり,プロの画家というわけではない。しかしその画筆は確かで,たぶん時間がない中でのスケッチは柔らかで味がある。展示は,上記「金沢百景」とそれに続くシリーズの約190点の水彩が中心。金沢地区は横須賀の軍港に近い要塞地帯だったため,写真撮影はできず,スケッチにも許可が必要で,画帳にはあちこちに横須賀鎮守府の検閲印が押されている。
 しかし今回,風景画以外に「予想外」のすばらしいものがあった。それは,角田が読んだ本の内容にちなむ絵を描いた葉書・色紙等を,その本の著者に送り,そこに著者の一言を揮毫して返送してもらった「揮毫コレクション」である。年代は明治から戦時中まで,その顔ぶれは,漱石,鷗外,藤村,荷風,徳富蘆花,若山牧水,与謝野晶子,朔太郎から,戦後も活躍した石坂洋次郎,石川達三,高見順,大佛次郎などに及び,近代文学史の名だたる人はほとんど揃っている。
 こういう形での揮毫はある程度行われていたことなのだろうか。あるにしてもしょっちゅうということはなかっただろうから,送りつけられた文人たちは驚いたことだろう。しかしこうして返事がたくさん来ているということは,文人たちの方も,今の作家とは違う余裕があったのだろう。
  (同展は5月29日(日)まで →参照

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 連休中の某日,鰹のたたきを買ったのだが,その日には食べられなかった。で,2日後になって,ネットで「レシピ 鰹のたたきの残り」で検索してみたら,クックパッドだけで28件も出てきた。焼いて,ニンニクやショウガ,醤油などで味付けしたものが大半だったが。

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