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May 13, 2016

金沢文庫の「金沢百景――角田武夫が描いた失われた風景」

 連休以降,特に忙しかったわけではないのだが,更新の間隔が空いてしまった。それで,少し前の報告だが,4月の某平日に横浜の県立金沢文庫に行き,「金沢百景――角田武夫が描いた失われた風景」展を見てきた。明治から昭和まで横浜の小学校の教師・校長をしていた角田(すみだ)武夫(1884-1945)が,1933年から1941年ごろのどんどん変貌していく金沢八景地区を描いたスケッチ帖「金沢百景」を中心とする特別展である。
 金沢文庫・金沢八景は横浜市の南端の地名であると同時に京急の駅名でもあり,私の郷里・横須賀からもすぐなのでなじみがある。小学校のころには金沢八景で潮干狩りをしたこともあった。金沢文庫では前にも,江戸時代からの金沢八景の浮世絵などの展示が行われたことがあった。今回の展示も,新聞で案内を見たときから行こうと思っていたのだが,4月になってから某SNSで,この画家が高校の同級生の祖父にあたることを知り,やっぱり行かなくてはと思い立った。もうひとつ,私の祖父も小学校の教師だったというのも特に親しみを覚えた要因になっている。

 いま「画家」と書いたが,角田の本職は小学校教師であり,プロの画家というわけではない。しかしその画筆は確かで,たぶん時間がない中でのスケッチは柔らかで味がある。展示は,上記「金沢百景」とそれに続くシリーズの約190点の水彩が中心。金沢地区は横須賀の軍港に近い要塞地帯だったため,写真撮影はできず,スケッチにも許可が必要で,画帳にはあちこちに横須賀鎮守府の検閲印が押されている。
 しかし今回,風景画以外に「予想外」のすばらしいものがあった。それは,角田が読んだ本の内容にちなむ絵を描いた葉書・色紙等を,その本の著者に送り,そこに著者の一言を揮毫して返送してもらった「揮毫コレクション」である。年代は明治から戦時中まで,その顔ぶれは,漱石,鷗外,藤村,荷風,徳富蘆花,若山牧水,与謝野晶子,朔太郎から,戦後も活躍した石坂洋次郎,石川達三,高見順,大佛次郎などに及び,近代文学史の名だたる人はほとんど揃っている。
 こういう形での揮毫はある程度行われていたことなのだろうか。あるにしてもしょっちゅうということはなかっただろうから,送りつけられた文人たちは驚いたことだろう。しかしこうして返事がたくさん来ているということは,文人たちの方も,今の作家とは違う余裕があったのだろう。
  (同展は5月29日(日)まで →参照

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 連休中の某日,鰹のたたきを買ったのだが,その日には食べられなかった。で,2日後になって,ネットで「レシピ 鰹のたたきの残り」で検索してみたら,クックパッドだけで28件も出てきた。焼いて,ニンニクやショウガ,醤油などで味付けしたものが大半だったが。

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