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Oct 09, 2016

シュザンヌ・ヴァラドン/ネヴィル・マリナー

 横須賀芸術劇場と共に郷里・横須賀が誇るべきハコもの,横須賀美術館へ,「女性を描く――クールベ,ルノワールからマティスまで」展を見に行った。
 行きは京急・馬堀海岸駅から観音崎行きのバス。このバスの行く道には,古いレンガの水道施設があったり,走水神社が見えたりして,変化に富む。海沿いの小さな峠を越えて走水の港を見下ろすあたりは,子供のころと同じようにわくわくする。久しぶりに晴れて,芝生の斜面の上の美術館から見下ろす東京湾がきらめいていた。
 「女性を描く」展は,おもにフランスの美術館からの60点あまりによるもので,じっくり見てもあまり疲れない手頃な規模の展示だった。珍しい題材で印象的だったのは,シュザンヌ・ヴァラドンの「コントラバス奏者」(今回はこういうタイトルになっていたが,「コントラバスを弾く女」とすることが多いと思う)。当時女性のコントラバス奏者はもちろんプロはいなかっただろうし,アマチュアだってどういう人がどういう機会に習って,弾いていたのかと思ってしまう。
Valadon_contrabass
 作品の説明に,作者のシュザンヌが未婚で産んだ息子が長じてモーリス・ユトリロになった,とあった。そういえばそんな話を読んだことがあったが,母の名はまったく記憶になかった。あとで調べたら,シュザンヌはエリック・サティやロートレックと愛し合ったり,後に息子の友人と結婚したり,と波瀾万丈,自由奔放な生涯を送ったとのこと。
 美術館からの帰りは,バスでそのまま京急・横須賀中央駅へ。名店「中央酒場」で遅い昼食とした。

 10月2日,ネヴィル・マリナー死去,91歳。一時名前を聞くことが少なくなっていたが,近年はN響への客演をテレビで見る機会が増えていた(今年6月にも客演の予定だった)。
 ネヴィル・マリナーは,1969年のヴィヴァルディ「四季」のレコードで一躍有名になった。それまで「四季」といえばイ・ムジチ合奏団というイメージを,鮮烈な演奏でひっくり返した。当時だからモダン楽器の範囲内ではあったが,弦楽器の奏法,アクセントの付け方,通奏低音の弾き方など,今の耳にはさほど新しくないことがすべて新鮮に聞こえた。いちばん単純にびっくりしたのは「春」の第2楽章,突然フォルテッシモでヴィオラが奏でる犬の声だった。


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