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Nov 01, 2016

29年前の面影――新国立劇場の『ワルキューレ』

 うっかり書かないでいるうちに10月が終わってしまったが,新国立劇場の新シーズンが,新制作,といっても故ゲッツ・フリードリヒの前世紀の演出(フィンランド国立歌劇場協力)による『ワルキューレ』で始まった。見たのは6回の上演中3回目の10月8日。昨年10月の序夜『ラインの黄金』が,ワグナーとしては短い曲なのに演出も音楽も締まりがない上演だったのに対し,今回は,テンポは悠然としていた(正味4時間10分)がほとんど緩まず,曲の魅力を生かしてなかなか立派な上演になった。
 ベルリン・ドイツオペラのフリードリヒ演出はもう29年前でわずかな断片しか覚えていないが,その面影をいちばん感じたのは3幕の最初,奥から手前に広がる三角形の野戦病院にワルキューレたちが戦死者を運んでくる場面だった。
 歌手は充実したメンバーが揃い,ジークムント,ブリュンヒルデ,フリッカは,2011年の『トリスタン』のときと同じステファン・グールド,イレーネ・テオリン,エレナ・ツィトコーワという組み合わせ。テオリンは,イゾルデのときはかなり大味という感じがしたが,今回は好調だった。ヴォータンは,今年3月のヨカナーンに続いて登場のグリア・グリムスレイで,声も姿(長身でほっそり)も若さがあって吉。
 今回は『ラインの黄金』から1年空いたが,次の『ジークフリート』は来年6月,『神々の黄昏』は来年10月と,完結に向けて間隔を詰めていく。

 当日受け取ったチラシによると,今秋から来春にかけて『ラインの黄金』の上演・演奏が,11月のティーレマン=シュターツカペレ・ドレスデン,3月のびわ湖オペラ,5月のインキネン=日フィルと3つもある。さらに,4月には東京・春音楽祭で『神々の黄昏』があり,ヤノフスキの「指輪」が完結する。――日本はワグナーの幸う国。

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