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November 2016

Nov 27, 2016

米国大統領選挙の得票数/事件の舞台

 米国の大統領選挙はもはや旧聞と思っていたが,最終得票数はどうなったのだろうか。ネットをいろいろ探してみたが,「公報」のようなものは見当たらない。
 見た中でいちばん新しいデータは,the Cook Political Report による数字を引用した英国 Independent社の11月22日の記事で,得票はヒラリー・クリントンが6360万票(48%),ドナルド・トランプが6190万票(46.7%)となっていて,クリントンが170万票多い。全体から見れば僅差とはいえるが,選挙結果と逆でしかも170万票差というのは小さな数ではない。獲得選挙人数は232対306で,決して僅差ではないのだが。
 こういうことが起きるのは,州ごとに多数となった候補者が選挙人を総取りする制度のためだ(メイン州を除く)。総取り制度により,各州が巨大な小選挙区の状態になっているということになる。小選挙区制では,死票が多くなり,得票数との逆転現象が起きることがあるということについては,このブログでも書いたことがある(→参照――あれ,もう10年以上前か)。

 こちらはほんとうに旧聞だが,9月に慶応大の広告学研究会の集団暴行事件というのがあった。報道されていたように,この研究会(というサークル)は長い歴史のある団体で,葉山でキャンプストア(海の家)を長年運営してきた。
 私は,40年以上前の学生時代に,この葉山のキャンプストアに1日だけ関わったことがある。手引きした友人は慶応ではなかったし,どういう経緯だったかは思い出せないが,そこでのバンド演奏に参加したのだった。休憩時には,この事件の舞台となった合宿所(今と同じではないかもしれないが)で,昼飯をご馳走になったように思う。

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Nov 26, 2016

粟國『ラ・ボエーム』と雪

 新国立劇場の今シーズン2つめの演目は『ラ・ボエーム』。美しい舞台による粟國淳のこの演出は2003年以来5回目になる。今シーズンの新国立劇場は新制作も含めて徹底した定番名曲路線で,まったく刺激のないラインナップだ。前年度はヤナーチェックやマスネがあって,それぞれ好演だったのだが。
 しかし,今回実際に『ラ・ボエーム』の上演に接してみると,歌手と指揮者が毎回違うこともあり,カルチェラタンの群衆の場面ではやっぱり心躍り,ミミの死はやっぱり悲しい。常に新鮮なのが名曲,ということか。歌手もほぼ満足の出来で,しかもミミはほっそり美人だった(トスカは太っていてもまあ許されるけれど,ミミは細くないと…)。
 『ラ・ボエーム』は長さも手ごろ(昔風にいうとLP2枚)なのがよい。4幕仕立てで,第1・2幕は同じ日(クリスマスイブ),3幕は2月の夜明け前,4幕は1幕と同じ屋根裏部屋ということで,きれいに起承転結をなしている。
 と書いていて,『ラ・ボエーム』の構成は『アイーダ』とよく似ていることに気づいた。ともに第2幕では群衆が登場し,3幕は夜,4幕は少人数での死の場面である。

 『ラ・ボエーム』第3幕にちなんでか,11月24日に雪が降って驚いた。関東南部で11月の雪は1962年以来54年ぶりだという。1962年といえば,私は中学1年。年内はコートを誰も着てはならぬという校則があったから,当時海のそばだった学校は寒かっただろうと思うが,もちろん記憶はない。
 何日か前から「24日は平野部でも雪,最高気温は3度」という予報が出ていて,今ごろほんとに降るのかなと思っていたのだが,予報は当たって朝からみぞれとなり,やがてうっすらと積もった。真冬モードの必殺ヒートテックのおかげで寒くなかったが,電車に乗ったら汗をかいた。

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Nov 17, 2016

さいたま芸術劇場でバッハ・コレギウム・ジャパン

 11月12日,彩の国さいたま芸術劇場(与野本町)でバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のバッハ「ロ短調ミサ」を聞いた。ここは,大ホールと別に「音楽ホール」があり,当日は会場の音楽ホールの正面入り口は「楽器保護のため」閉められていて,脇のほうから入るようになっていた。
 BCJを生で聞くのは初めてで,定員600人のホールで合唱とピリオド楽器のオーケストラを聞くのは,まことに贅沢な経験だった。合唱(ソリスト5人も合唱に加わる)が25人,オケが24人。オケは,ピリオド楽器だからどうこうということをまったく超越して,みなもちろん自在に自然に演奏していたが,特に素晴らしかったのは通奏低音のチェロ(エンドピンなしで足で挟んで弾く)2人とヴィオローネで,3人ぴたりと一緒に,全体を支えていた。
 合唱は,清澄でかつまっすぐ訴えかけてくるような強さがある。各声部が2つに分かれて最大8声部の二重合唱になるが,全体としては5部合唱の部分が多く,これに応じてソプラノは左端と右端に分かれていた。アルトのソロは男性(カウンターテナー)で,合唱のアルト7人のうち,このソリストとあともう1人が男性だった。

 さいたま芸術劇場は,蜷川幸雄(今年5月に死去)の劇場でもある。駅からの通りを曲がって劇場へ上がっていく道の左側の歩道の柵には,蜷川と,蜷川のシェイクスピア等に出演した俳優たちの手形が飾られていた。
 帰りに暗くなって知ったのだが,反対側(劇場に向かって右側)の歩道の路面には,シェイクスピアの名台詞を書いたガラスがはめ込まれていて,下からライトで照らされているのだった。

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Nov 13, 2016

コチシュ死去/集中管理

 11月8日の新聞で,ピアニストのゾルタン・コチシュ(ハンガリー人だから本来はコチシュ・ゾルターン)の訃報が出ていてびっくりした。まだ64歳。私より少し下の世代のハンガリーの三羽烏,デジュー・ラーンキ,アンドラーシュ・シフ,コチシュは,いずれも音が美しくさわやかで,でもじっくり歌っていて,LP/CDを比較的よく聞いていた。
 3人のうちでコチシュは,1977年夏にたまたまダブリン(アイルランド共和国)に行ったときにリサイタルのポスターを見て聴きに行ったという縁がある。小さな会場だった。曲は,前半は覚えていない(モーツァルトなどだったような気がする)が,後半はなんとベートーヴェンの交響曲第5番の独奏用編曲だった。
 コチシュは管弦楽曲の編曲をよく演奏する人で,リストまたは自分の編曲によるワグナーの曲だけのCDも出している。その中で特に愛聴しているのは『ローエングリン』の「エルザの大聖堂への行列」。

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 会社勤めを終えてから初めての成人病健康診断に行った。これまでは会社で受けていたので,並んだ順に決まった順番で進んでいったのだが,今回は様子が違った。
 指定の番号の席に30数人座ると,前に立った看護師さんが「では1番と2番の方,後ろの心電図の部屋にお願いします。3番,4番,5番の方は視力検査に行ってください。9番,10番の方は…」という具合に,各項目の検査が並行して進むよう「指揮」する集中管理方式なのだった。モニターにだれがどれを済ませたかが表示されるらしく,検査室から1人出てくると次の人が指名される。全体として,最初の受付の順に終了していった。

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Nov 08, 2016

水戸芸術館で25年前を思う

 某平日,初めて水戸芸術館へ行った。見たのは,現代美術ギャラリーの「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国1984-91」という長い名の展示。ありがたいことに65歳以上は無料だった。1991年秋に,茨城県の常陸太田の川沿いに青い傘を1340本,米国カリフォルニアに黄色い傘を1760本立てたクリストの「アンブレラ・プロジェクト」にまつわる資料の展示である。
 私は25年前のこのプロジェクト(→参照)を,水郡線に乗って常陸太田まで見に行った。その後カリフォルニア会場で傘が風で倒れて死者が出る事故があってプロジェクトは予定より早く終わった上に,会期中天気が良くない日が多かったのだが,私が行った日はよく晴れて青い傘が山の緑に映え,まさに一期一会の体験だった。
 そのときのように,水戸はよく晴れていた。常磐線からも見える芸術館のシンボルの塔に登った。潜水艦のような丸い窓から那珂川が見えた。塔内のBGMは,芸術館を本拠地とする水戸室内管弦楽団の演奏だった。
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 帰りのバスの中の宣伝がちょっとおもしろかった。いわく「東大,医学部,早慶上智,偏差値40からの逆転合格は,………○○塾。筑波,茨大も○○塾。」 逆転専門らしい。


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Nov 01, 2016

29年前の面影――新国立劇場の『ワルキューレ』

 うっかり書かないでいるうちに10月が終わってしまったが,新国立劇場の新シーズンが,新制作,といっても故ゲッツ・フリードリヒの前世紀の演出(フィンランド国立歌劇場協力)による『ワルキューレ』で始まった。見たのは6回の上演中3回目の10月8日。昨年10月の序夜『ラインの黄金』が,ワグナーとしては短い曲なのに演出も音楽も締まりがない上演だったのに対し,今回は,テンポは悠然としていた(正味4時間10分)がほとんど緩まず,曲の魅力を生かしてなかなか立派な上演になった。
 ベルリン・ドイツオペラのフリードリヒ演出はもう29年前でわずかな断片しか覚えていないが,その面影をいちばん感じたのは3幕の最初,奥から手前に広がる三角形の野戦病院にワルキューレたちが戦死者を運んでくる場面だった。
 歌手は充実したメンバーが揃い,ジークムント,ブリュンヒルデ,フリッカは,2011年の『トリスタン』のときと同じステファン・グールド,イレーネ・テオリン,エレナ・ツィトコーワという組み合わせ。テオリンは,イゾルデのときはかなり大味という感じがしたが,今回は好調だった。ヴォータンは,今年3月のヨカナーンに続いて登場のグリア・グリムスレイで,声も姿(長身でほっそり)も若さがあって吉。
 今回は『ラインの黄金』から1年空いたが,次の『ジークフリート』は来年6月,『神々の黄昏』は来年10月と,完結に向けて間隔を詰めていく。

 当日受け取ったチラシによると,今秋から来春にかけて『ラインの黄金』の上演・演奏が,11月のティーレマン=シュターツカペレ・ドレスデン,3月のびわ湖オペラ,5月のインキネン=日フィルと3つもある。さらに,4月には東京・春音楽祭で『神々の黄昏』があり,ヤノフスキの「指輪」が完結する。――日本はワグナーの幸う国。

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