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Sep 29, 2017

「食器が伝票」方式

 今年の初夏,久しぶりに行った北千住の居酒屋「千住の永見」の店内に「当店はどんぶり勘定です」という貼り紙が出ていた。紙の伝票は使わず,料理の入っていた食器(およびお酒のカップ・ビール瓶)で代金の計算をします,したがって食べ終わっても食器は下げません,という趣旨の注意書きである。実際にはどんぶりを使う料理は少ないので,実態としては「皿勘定」だが。(ただし,この貼り紙は,その次に行ったときにはなぜかなくなっていた。)
 私が行ったことのある居酒屋では,肉豆腐の「千登利」(池袋)と,郷里・横須賀の名店「銀次」がこの「食器が伝票」方式である。千登利では皿のほか,焼きとんや野菜焼きの串も伝票で,いつか女性客が食べ終わった串を床に落としてそのままにしていて,隣のおじさんに注意されていた。焼きとんについては,重要なのは串であり,焼きとんをのせる浅い皿は有価証券ではないので空いたら下げてくれる。
 「銀次」のおかみさんは,料理を出すときはだれの注文だったか忘れることがあるのに,勘定の段になると記憶が鮮明になって,皿を見ながら食べた品目を迷わず唱えて,上が2つ玉の古風な算盤を入れていく。

 紙の伝票を使う店では,注文を受けるとすぐ伝票に書き込むのが普通である。そのひとつ「鳥万」(蒲田)では,客は自分の伝票を店員に渡しながら注文するのが自然に成立したルールになっている。これに対し,「齋藤酒場」(十条)は,注文は口頭で厨房に伝え,できた料理を客に届けてから伝票に記入する。
 ユニークなのは「まるます家」(赤羽)のプラスチックのチップを使う方法。ここは店の中央奥に座るおかみさんによる集中管理方式で,両カウンターの店員が「3番さん,タマネギフライ」とおかみさんに伝えると,おかみさんが大声で「タマネギフライがひとつ」といった具合に厨房に伝え,このとき,穴のあいたプラスチックのチップ(値段によって色や形が異なる)を席番号の棒にさしこむ。飲み物は店員が出すものもあるが,それもおかみさんに伝えられ,おかみさんがチップで記録する。
 店員が「3番さん,会計」と告げると,おかみさんがチップを数えて素早く計算する。おかみさんには一刻の休みもない。

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 いま,東京付近では,日の出も日の入りも5時半前後である。夜の長い季節がやってきた。

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