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June 2019

Jun 30, 2019

鎌倉文学館で三島由紀夫「豊饒の海」の展示

 6月の某土曜日,鎌倉文学館へ出かけた。土曜日でも文学館の中はそれほど混まないというのは想定どおりだったが,その往復の横須賀線と江ノ電の混雑は予想を超えていて,横須賀線はラッシュアワーの一歩手前,江ノ電はほんとうにすし詰めで乗るのがやっとだった。これなら江ノ電には乗らないで鎌倉から歩けばよかったと思いつつ,2駅目の由比ヶ浜でなんとか降りた。
 で,見たのは特別展「三島由紀夫「豊饒の海」のススメ」。壮大な四部作「豊饒の海」の第1巻『春の雪』の重要な舞台・松枝侯爵家別荘のモデルとなったのは前田侯爵別邸,つまり他ならぬこの鎌倉文学館の建物であり,この展示にこれ以上ふさわしい場所はない。(ただし,『春の雪』の中で主人公たちが鎌倉の別荘で過ごすのは1913年という設定だが,現在の建物は関東大震災後の1936年竣工である。)
 特別展は1階と2階の各1室で,「豊饒の海」の創作ノートや原稿,書簡などがかなりの密度で並んでいた。自分にとってこの四部作の執筆が終ることは「世界の終わりに他ならない」と記した書簡もあった。この書簡の8日後の1970年11月25日,三島は第4巻『天人五衰』の最後の原稿を書き終えて,自決の地に向かったが,今回展示されていた「略年譜」によれば,小説の中の時間は三島の死の5年後まで続いているのだった。
 壮大な四部作というと,どうしても思い出されるのはワグナーの「ニーベルングの指輪」だ。ワグナーではラインの黄金から作られた指輪を人や神々が追い求めるが,「豊饒の海」の語り部・本多は輪廻転生の印を追い求める。ワグナーでは最後に神々がたそがれの時をむかえるが,「豊饒の海」では作者が最期をむかえた。
 ところで,三島の死のざっと20年後までの作家だったらこうして手書きの原稿や書簡が展示できるが,それ以降の作家だったら文学館は何を展示するのだろう。原稿やメールのプリントアウトしかないか。
 (→参照:三島由紀夫と「豊饒の海」
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Jun 22, 2019

フランコ・ゼッフィレッリ死去

 6月15日,映画監督・演出家フランコ・ゼッフィレッリ氏が死去した。1923年生まれの96歳だった。
 初めてその監督作品に接したのは映画『ロミオとジュリエット』だった。1968年製作なので,ゼッフィレッリは当時45歳だったことになる。昔も今も私は映画にあまり熱心ではないが,このときは何かで紹介を読んで,珍しくちゃんと封切館で見た。十代の終わりごろのことである。
 シェイクスピアの原作どおりの年齢のジュリエットとして起用されたのは,撮影時15~16歳のオリヴィア・ハッセー。華麗なセットの中で,きらめくようにかわいく,初々しかった。ジュリエットだけでなくロミオ役のレナード・ホワイティングも私より若く,年下の俳優が主演する映画を見るのはもちろん初めてだった。ずっと前に書いた(→参照)が,そのオリヴィアが1980年に布施明と結婚するとは思いもよらないことだった。
 『ロミオとジュリエット』から10年あまりたって,ゼッフィレッリをオペラ演出の巨匠として知るようになった。今回調べてみたら,ゼッフィレッリ演出のオペラはこれまでに14回も見ていた(曲目の異なりは9曲)。
 [ロイヤル・オペラ](1979):『トスカ』
 [スカラ座](1981,1986,2009):『オテロ』『ラ・ボエーム』(2回)『トゥーランドット』『アイーダ』
 [メト](1997):『カルメン』『カヴァレリア・ルスティカーナ』&『道化師』『トスカ』
 [ウィーン国立](2004):『ドン・ジョヴァンニ』(以上すべて来日公演)
 [新国立劇場](2009,2013,2018):『アイーダ』(3回)(→参照;→参照
 たいていは舞台装置や衣装も演出家によるもので,『アイーダ』『トゥーランドット』が絢爛豪華なことは話題になるが,もちろんそればかりではなく,いつも具象的で精巧。舞台を見る歓びを味わわせてくれた。ちなみに,『トゥーランドット』のきんきらきんの宮殿は発泡スチロール製だとのこと。

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 先日,赤羽の「まるます家」の全面禁煙のことを書いた(→参照)が,神保町の薩摩焼酎の名店「兵六」は4月からすでに禁煙にしていたことに気づいた。

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Jun 17, 2019

調味料とカフェイン

 年に2,3回行く某居酒屋には,主に一人客が座るカウンター席が10人分ほどある。その一部は,座ると目の前が業務用の調味料などの置き場になっている。
 置いてあるのは家庭用として昔からなじみのものが大部分だが,サイズがさすがに大きい。たぶん2リットルのボトルがそれぞれいくつも積んであるのが,ヒゲタしょうゆ,カゴメのトマトケチャップ,キューピーのマヨネーズ,ブルドック中濃ソース,あとラー油,ポン酢,おろし生姜など。ボトルではないケース入りがハナマルキの味噌。もっと大きいのがエバラ生姜焼きのたれの5kgパック,そして最大のものは味の素20kgの箱。
 楽屋裏はどこもおもしろいが,見ていると調味料で腹が一杯になりそうになる。

 テレビのバラエティー番組で,飲むとトイレに行きたくなる飲み物(ソフトドリンク)のベスト3(いやワースト3か)は何かという問題が出された。これについては,年をとって日常的に面倒が生じているので,あわてて答えをメモした。正解は
  1 コーヒー
  2 オレンジジュース
  3 緑茶
だった。飲み物の利尿効果は主にカフェインとカリウムによるもので,オレンジジュースはカリウムが多く,コーヒーと緑茶はカフェインとカリウムの両者を含んでいるのだという。その後見た他の資料によると,カフェインの量は紅茶,ウーロン茶も煎茶と同程度,ほうじ茶,玄米茶はその半分程度となっていた。
 ということは,音楽会やオペラの会場で売っている飲み物でカフェイン,カリウムの入っていないものはほとんどないということになる。麦茶を持って行くしかないか。

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 6月15日の土曜日,大谷のサイクルヒットを祝って,久しぶりにスポニチを買った。ところが,いつもスポニチの1面は赤い見出しが躍っているのに,なぜか全体に青い。あらためて見ると,1面は大谷ではなく中央競馬で,あるサプリメントが違法薬物を含んでいる可能性のあることが発覚し,156頭が出走取消になったというニュースだった。大谷の記事はもちろん2~3面にちゃんとあったけれど。

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Jun 10, 2019

税務署はサンマルコ広場

 今年3月,税務署に税金の申告に出かけた。所轄の税務署は民間ビルに仮住まい中で,駅を降りると,「→税務署(所得税申告会場)」という貼り紙が出迎えてくれた。それが5メートルおきにエレベーターまで続き,目的階で降りてからも続いていて,迷うことなく行くことができた。
 しかし,帰りは,駅までの案内を税務署が追加したりはしていないので,曲がり角などがあるたびに,どっちから来たのだったかときょろきょろしてしまった。

 それで思い出したのは,40年前に一度だけ行ったヴェネツィアである。
 ヴェネツィアの街は,他の都市の大通りにあたる大運河がS字状にうねっていて,無数の路地と小さな水路が勝手な方向に向いている。それでも,ヴェネツィアの中心サンマルコ広場まで行くのは簡単で,街の至る所に出ている「→Piazza St.Marco」という黄色の標示をたどっていけばいい。すべての道はサンマルコに通じている。
 しかし,サンマルコ広場から他の場所へ行こうと思うと,それは不可逆の矢印であることに気づかされる。地図と首っ引きで道を探すことになるが,道は微妙に曲がっていて方角の見極めが難しく,しばしば水路に突き当たって行き止まりになっている。――行きはよいよい,帰りはこわい。

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 前回書いた金沢シーサイドラインは,3日後の6月4日に有人運転で運行を始めた。新聞記事によると,同社には運転士の資格を持つ社員が63人いて,そのうち30人ほどが運転にあたるという。こんなにいる「運転士」さん,ふだんは何をしているのだろうと,逆にちょっと心配になった。
 逆走した車両の衝突時の速度はそんなにたいした速度ではなかったのだろうと想像していたが,実際には時速20キロほど出ていたようだ。――すぐれた加速性能。

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Jun 03, 2019

金沢シーサイドラインで逆走事故

 6月1日夜,新交通システム・金沢シーサイドラインの始発駅・新杉田で,金沢八景方向へ出発しようとした列車が逆走して,車止めに激突するという事故が起きた。停止位置から車止めまで25メートルほどというのは意外に遠いという感じもする。もっと近い始発駅はたくさんありそうだ。しかしそれにしてもたいした速度ではなかったはずだと思うが,すべての車両がモーターを積んでいるということもあって,馬力が大きく,強い衝撃になったらしい。
 始発・終着駅で車止めに衝突した事例というと,1992年の関東鉄道取手駅での事故が思い出される。これは取手駅終着の列車が止まれなかったものだった。今回は無人運転だから運転士の操作というのはなく,何かシステム的な原因なのだろうが,衝突の衝撃を少なくする最後の砦としては,物理的なバッファーが必要なのではなかろうか。車のエアバッグのようなものを車止めに仕込むというのはどうだろう。
 金沢シーサイドラインは,先に書いたように(→参照),今年3月に線路が延長されてもう一方の始発駅・金沢八景駅が京急の駅近くに移転した。せっかく,30年来の悲願が実現したところだったのに,この事故はつらい。今日3日から代行バスの運行が始まったようだが,長期間バスというわけにもいかないだろう。
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 神保町の古い和食店「伯耆」が4月26日を最後に閉店していた。シャッターに,「五十年間 お世話になりました」という手書きの貼り紙と,「テナント募集」のポスターが並んでいる。
 いつも昼の定食が5,6種類あって,ご飯・味噌汁という基本部分がしっかりおいしいのがありがたかった。
 神保町から見ると「丘の上」にある「山の上ホテル」は改修工事のため休館中(11月30日まで)。 
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 先日,久しぶりに赤羽の「まるます家」に行ったら,「6月4日から全面禁煙」という貼り紙があった。来年4月から施行の都の条例を先取りするという。老舗の居酒屋としては異例の対応――個人的には大歓迎だけど。
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