« October 2019 | Main | December 2019 »

November 2019

Nov 22, 2019

新国立劇場の悲喜劇――『エウゲニ・オネーギン』『ドン・パスクワーレ』

 新国立劇場オペラの2019-20シーズンは,10月の『エウゲニ・オネーギン』で始まり,続いて11月には『ドン・パスクワーレ』が上演された(ただし,10月12日の『オネーギン』は台風で中止になった)。共に新制作で,今シーズンの演目10本のうち新制作は4本だが,そのうちの2本がシーズン始めに連続するというちょっと珍しい事態になった。2つの新制作が重なったこの夏,舞台裏は大忙しだったことだろう。
 上演は共に充実したもので,歌も演出も高水準。ヒロインが共にほっそり美人なのも吉。舞台装置もよくできている。
 ロシアの作曲家で私がいちばん多くオペラを見ているのはチャイコフスキーで,中でも『オネーギン』が最多で今回が7回目。『ドン・パスクワーレ』は,14年前に一度プラハでたまたま見たことがある(→参照)が,国内では初めてだった。

 この2本,『オネーギン』は悲劇,『ドン・パス』は喜劇という対照をなしているが,劇中の中高年男の結婚に関しては,悲喜あるいは幸不幸が逆転していることに後から気づいた。すなわち,『オネーギン』のグレーミン侯爵は中年になってタチアナと結婚して幸せいっぱいなのに対して,ドン・パスクワーレ氏は老年になって結婚しようとして苦い経験をすることになる。

◆神保町ミニだより
 すずらん通り裏の焼肉店で,昼食が売り切れて「ギブアップ中」という札が出ていた。

 靖国通り北側の路地のカレー店では,売り切れのメニューに「完食」という札が貼ってある。完食ということばのこういう用法は珍しい。

| | Comments (0)

Nov 18, 2019

吹奏楽のスコア/今度は『マイスタージンガー』の発メロ

 今年の夏,古関裕而「オリンピック・マーチ/スポーツショー行進曲」の吹奏楽フルスコアが全音楽譜から出ているのを見つけ,飛びついて買った。團伊玖磨「祝典行進曲」と共に行進曲の名曲と誉れ高く,中学・高校時代に演奏した思い出深い曲である。2016年刊行だが,うかつにも今まで気づかなかった。
 その後調べたら,吹奏楽のスコアは日本楽譜出版社からも11点ほど出ていて,ラインナップにはホルスト「吹奏楽のための組曲第1番」「同 第2番」,ワグナー「表敬の行進曲」などがある。スーザ「星条旗よ永遠なれ」のオリジナル編成版もあり,このマーチのトリオの華麗なピッコロのオブリガートは,絶滅種となったD♭管のピッコロ(普通のピッコロより半音高い)用に書かれていたことがわかる。トリオは変イ長調なので,D♭管なら譜面はト長調になるという次第。
 吹奏楽の指揮者用の楽譜としてフルスコアがほとんどなく,通常コンデンスト・スコア(略記して3段ぐらいに押し込めたスコア)しかなかった時代を知るものには,隔世の感がある。
  参照:「新しい」行進曲 2004/7
     テレビニュースのテーマ曲 2008/1
     パート譜からスコア――ホルストの第1組曲 2010/7

 新国立劇場と東京文化会館の制作による2020年6月の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のポスターが早くも出たなと思ったら,キャンペーンの一環として,上野駅山手線ホームでマイスタージンガー前奏曲の発車メロディーが11月9日から使われ始めたとのこと(→参照)。発メロキャンペーンは今春の『トゥーランドット』(→参照)に続いて2回目だが,今回はなんだかやたら手回しがいい。なお,今回は大江戸線の上野御徒町でも使うという(ただしこちらは10時~21時の間毎正時)。
 この公演は,ほかにザルツブルグ・イースター音楽祭,ザクセン州立歌劇場との共同制作で,東京文化会館では2回,新国立劇場では4回上演される。

| | Comments (1)

Nov 10, 2019

ベルリンの壁 崩壊30周年

 11月9日は,ベルリンの壁崩壊から30周年の日だった。
 当時,「壁」が崩壊すれば東西ドイツの統一も検討されることになるだろうという話も出たが,それはどちらかというと希望的観測だったように思う。それから1年足らずでドイツ統一が実現するとはまったく予想できなかった。まして,2年後に超大国ソ連がなくなるなどというのは,想像すらできなかった。

 以下に,10年前,2009年11月9日に書いたエントリーを再掲する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「壁」崩壊20周年の日に

 11月9日は,ベルリンの壁崩壊から20周年の日である。
 あの年1989年の夏から秋にかけて仕事が忙しかったために,新聞の2面以降の海外のニュースにあまり注意を払っていなかったので,最初はちっとも理解が及ばなかった。しかし,やがて連日新聞の1面に何かしら載るようになって,ただならぬうねりが起きていることをいやでも知らされることになった。

 団塊の世代にとっては,ドイツは子供のころから東西2つの国だった。キューバ危機で核戦争一歩手前になるという出来事があったりして,冷戦に終わりが来るなどということは想像できなかったから,ドイツ統一などわれわれが生きているうちに実現することはないだろうと思っていた。
 学生のころ,たまたま家にあった昭和10年ごろ刊行のドイツの音楽史跡写真集(属啓成(さっか けいせい)編)を開いてみたところ,閉ざされた国・東ドイツの都市だと思っていたバッハゆかりのライプツィヒ,ドレスデンなどが当然「ドイツ」の都市として載っていて,非常に不思議な感じがした。

 高校の時の先生に,ドレスデン出身のS師という神父さんがいた。あるとき生徒が「先生の出身は東ドイツなんですね」とうっかり言ったら,S師は「東ドイツじゃないよ,ドイツだよ」と諭すように言った。お姉さんがドレスデンのオペラのソプラノ歌手だったという話も聞いた。先生自身も声が良く,歌がうまくて,ドイツの登山の歌などを教わった。
 1980年前後だったと思うが,S師は来日から50年近くたってようやく故郷ドレスデンを訪れることができた。そのときのことを書いたエッセイに,西側から乗った列車が,東側に入ったとたんに,線路の保守状況が悪くなってガタガタいいはじめ,スピードも落ちたのは悲しかった,という一節があった。
 S師が2年前に亡くなったとき,通夜に集まった友人たちと,先生はドイツ統一を見ることができて本当によかったね,と語り合った。

 ベルリンの検問所が開放されて東ベルリン市民が西へ押し寄せたのは,現地時間で11月9日夜,日本では11月10日を迎えていた。その10日の未明,わが家では次女が誕生した。「ベルリンの壁「崩壊」」という大見出しと壁をハンマーで壊す若者の写真が載った10日の夕刊は,今も保存してある。次女には,東西を隔てる壁に穴が開いたことに,ちょっと牽強付会だが,少し関係のある名前を付けた。

| | Comments (0)

Nov 07, 2019

鉄道の不通その後

 10月の台風・大雨の影響による鉄道の不通はまだ続いているが,次の3つの線区は11月中に再開の見込みとなった。
  ・両毛線 岩舟~栃木駅間  11月中旬運転再開見込み
  ・磐越東線 小野新町~いわき駅間  11月中旬運転再開見込み
  ・八高線 寄居~北藤岡駅間  11月下旬運転再開見込み
 しかし,以下の線区はまだ目処が立っていない。来年ということになってしまうのだろうか。
  ・吾妻線 長野原草津口~大前駅間
  ・水郡線 西金~常陸大子駅間
  ・八戸線 階上~久慈駅間
  ・小湊鐵道 上総牛久~上総中野駅間
  ・箱根登山鉄道 箱根湯本~強羅駅間

 小湊鐵道は,9月の台風で不通になって13日後に復旧したのだが,再び不通が続いている。
 特に被害が深刻なのは箱根登山鉄道。最近のニュースの見出しに「年内をめどに」という言葉があったので,あ,よかった,と思ったのだが,よく見たら,年内をめどに「復旧の方針を決める」というニュースだった。

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 首里城の火災(10月31日)から1週間たった。首里城へ行ったのはその2日前だから,まだ9日しかたっていないのに,もはや遠い幻のような思い出になってしまった。
 再建について,前の復元と違って設計図が残っているということを先日書いたが,実際には,木材や瓦の材料の不足,職人の減少などの問題が深刻だという。

 沖縄のモノレールに初乗車してから2日後,上野動物園のモノレールが31日限りで運転を休止した。今の車両は,製造から17年たってかなりの劣化が見られるという。遊園地の乗り物ではなく,東京都交通局によるれっきとした都営の交通機関だった。
 開業は私が小学生のときだが,初めて乗ったのは大人になってからだった。

| | Comments (0)

« October 2019 | Main | December 2019 »