音楽

Jun 19, 2020

劇場の1つおきの座席

 2週間前の6月5日,新国立劇場から,オペラ・バレエの来シーズンのチケットについて,「通常の配席プランで「シーズンセット券」を販売することは困難と判断し,2020/2021シーズンセット券は全ての販売を中止し,既にお申し込みいただいた分についても取り消しとさせていただきます。」という知らせが届いた。
 ふつうはチケットの購入をキャンセル・取り消しするのは申込者であり,主催者がチケットの「取り消し」をするのはおかしいと思うが,今回は公演を中止するのではなく,観客の間を空けるための座席配置にするために,既発売のチケットをいったん無効にしたいということであり,確かにあまり適当な言葉がない。
 今シーズンの新国立劇場のオペラは3月以降の公演がすべて中止になったが,来シーズンのセット券は私はその前の今年1月に申しこみ,3月にはすでにチケットが届いていた。今回,代金は払い戻しとなり,「お手元のシーズンセット券チケットは全て無効とさせていただきます。お手数ですが、ご自身で処分いただきますようお願いいたします。」という珍しい扱いになった。1回券は発売を保留していたらしい。

 東京フィルハーモニー交響楽団は,6月の定期演奏会(3公演)を「決行」する。指揮者のプレトニョフが来日できなくて変更になり,曲目も時短プログラムに変更,席は「再配席」となり,払い戻しにも応じるとのこと。
 具体的にはウェブサイトに書いてないが,座席はたとえば1列目は奇数番,2列目は偶数番を使用してチェス盤状に座るということだろう。当然,客の人数は半分になり,これが続いてはやっていけるはずがない。

 6月末までの休演を予定していた宝塚歌劇は,7月17日から宝塚大劇場での公演を再開することが,6月15日に発表された。7月中は1日1回のみの公演となる。東京および他の地域での公演については「決まり次第発表」となっている。
 密集を避けるために,舞台に乗る人数を減らし,生オケはやめて録音にし,客席を使った演出はしない。座席は,「前後左右を1席ずつ空け,最前列は販売しない」という。
 他の多くのホールと違うのは,宝塚大劇場・東京宝塚劇場は,見やすくするために,座席は前後でぴったり重ならないようにもともと半席分ずつずらした配置になっていることである。今回,上記の東フィルの場合と同様に,座席は1つおきに座って前後でずれるようにするということだろうが,宝塚の場合,「前後左右」といっても自分の真正面・真後ろが1席空くわけではなく,左(または右)斜め前と左(または右)斜め後ろが空いている状態になる。
 チケットの争奪戦は空前の激しさになるだろう。

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 祝・プロ野球開幕!
 今日は雨で寒くて,一瞬,球場で見るのはたいへんだなと思ったが,無観客なので(一般人には)関係ないのだった。

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May 06, 2020

4月の外飲費――昔はものを思はざりけり

 2006年から,アルコールの量と「外飲費」を Excel の表に記録している。題して「ある日記」(→参照)。それによると,今年の飲み代は2月までは例年並み,3月は普通なら2月より日数の比以上に増えるところほぼ横ばいだったが,4月は2019年の平均月額の17パーセントに激減した。2006年以来の最低記録である。週2日の休肝日と1週間あたりの純アルコール量の基準は変えていないので,その分家飲みは増えた。
 少ない外飲みは,長年通っている某居酒屋。街の経済活動支援のためということも少しは考えて,早めのすいている時間をねらって週1回ほど行っている。この店は,従来年中無休だったがいまは日曜休みとし,営業時間も短縮し,3階まであるうちの2階以上を閉鎖している。4月下旬には手作り感あふれる「隔壁」が設置された。細い角材を縦横に組み合わせ,厚手の透明ビニールを貼って,客と店員の間を仕切っている。少ない来店者の中に顔なじみの人がいるとほっとする。
 この店ではいま,おみやげとしてマスクを配っている。このご時世にまことにありがたく,客の再訪を促すためにも役立っていると思う。

 今年1月に,某吹奏楽団の定期演奏会に手伝いとして出演した。定期演奏会はいつも3月なのだが,今年はたまたま1月の会場が取れたのだという。その関係者と先日,「1月でよかったね」という話をした。
 思えば,2月半ばまでは,あらゆる「イベント」が特に何も心配せずに行われていた。文脈はまったく違うが,「昔はものを思はざりけり」といったところだ。

 大相撲夏場所は,通常より2週間遅れで予定されていたが,結局中止になった。次の名古屋場所は1000人規模の移動を避けて東京で,たぶん無観客で開催するという。しかし,それでも開催できるかどうかはかなり危うい。
 スマホアプリ「野球速報」はいま「思い出の試合を連日,復刻速報中」。「復刻」で「速報」というのはほとんど形容矛盾だが,その意気やよし。

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Mar 27, 2020

続・三月後半日乗

 次々といろいろなことが報じられる。それも大部分は悪いことだ。
 いやでも思い出すのは東日本大震災のとこのことだが,あのときは大局的には間違いなく回復に向かっていたのに対し,今回は,いつ回復に向かうのかが見えないのと,世界規模であることが大いに違う。
 都知事による週末の外出自粛要請があり,昨日昼前の近所のスーパーは平日午前中にしては大混雑で,夜には食料品の棚にかなりの空きができていた。

 新国立劇場の新制作オペラ『ジュリオ・チェーザレ』(4/7~4/12)は予想通り中止になった。同じ演出によるDVD(ナタリー・デッセイ他)をたまたま持っていて,それが無類に楽しいので,今シーズンでいちばん楽しみにしていた演目だったのだが。
 宝塚歌劇はまたまた変更になって,3月22日の東京での雪組千秋楽は上演されたが,その次の27日からは中止になった。宝塚でも27日から上演の予定だったが,こちらは再々開しないまま中止。

 ニューヨークのメトロポリタン・オペラ(Met)は先週,今シーズンの公演(オペラは5月9日まで)を打ちきり,従業員を3月末で一時解雇すると発表した。Met のサイトによれば,米国ではライブビューイング(原語では Met Live in HD)も中止となっている。
 しかし,日本の「METライブビューイング」は今後も上映するつもりらしく,次は4月3日から『ポーギーとベス』の予定。その次の新演出の『オランダ人』は,収録予定の3月14日の公演が中止になったが,10日に収録されたものを予定通り5月8日から上映すると予告されている。その後の『トスカ』『マリア・ストゥアルダ』はそれぞれ収録予定の日の公演が中止になったが,新演出ではないので前に収録されたものを上映の予定だという。
 『ポーギーとベス』は見たいと思ってカレンダーに書き込んであるのだが,この時期,閉鎖空間に行く気にはなれない。

 そんな中,感動的だったのが新日フィルのメンバーによる「テレワーク・オーケストラ」(→参照)。室内楽なのかなと思ったら,なんと60人以上によるちゃんとした編成。「本番」前にメンバーが不安そうにスマホのセットをする場面もあり,全員に指示してちゃんとネットにつながったことを確認してテストしてから収録し,厳密に同期させて編集するのには,膨大な手間がかかっているのではないかと想像する。

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Mar 23, 2020

三月後半日乗

◆暖かくなったせいもあって,東京の地下鉄は窓を少し開けて走るようになった。

◆デパートのエスカレーターではいつもと同じ「安全のため手すりにおつかまりください」というアナウンスが流れていた。しかし,今は「安全のため手すりにつかまらないでください」というべきでは。

歯科医院へ行ったら,体温計をおでこにあてられた。37.5度以上だと入れない。

◆近くのスーパーでは,トイレットペーパーとティッシュペーパーが毎日少しは入荷するが,「1家族1点」になっている。ティッシュペーパーは5箱セットなので,太閤ではないが「今日も5個買い,明日も5個買い」。

◆西神田のカトリック神田教会の前を通りかかったら,「15日~31日 閉門いたします」という貼り紙が出ていた。当初は3月1日から15日だったのが,延長されたもの。主日ミサ(日曜日のミサ)もない。なるほど,閉鎖空間に密集して祈りを唱えたり歌を歌うわけにもいかないだろう。
 クリスマスと並んで教会のもっとも重要な行事である「復活の主日」は今年は4月12日。それまでに状況がよくなるようには思えない。
 ちなみに,1928年築の重厚な建物で知られるこの教会,英語の看板は
  Catholic Church of St.Francis Xavier
となっていて,日本語にはないフランシスコ・ザビエルの名が入っている。
 「閉門」で,ジャン・ヴァルジャンは逃げ込めることができるのだろうか。

新国立劇場は,3月の公演・行事はすべて中止になった。4月は7日からヘンデル『ジュリオ・チェーザレ』(新制作)の予定で,すでにイタリア人指揮者や海外からの歌手も来日しているらしい。しかし,一応国立を名乗る施設で諸々の圧力に抗しきれるかどうか。

宝塚歌劇は,一度再開した公演を再び休止していた(前々項追記参照)が,東京では22日の雪組千秋楽から公演を再々開した。宝塚は27日の花組から,東京も次は27日の星組からとなる(両方とも初日)。

◆所属のオーケストラの演奏会も中止になり,その練習もなくなって,4月上旬までのカレンダーに残っているのは病院へ行く予定のみになった。

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Mar 05, 2020

カレンダーの空白

 その後,いろいろな行事の中止,施設の閉鎖はますます増えた。
 前回(→参照)「風前の灯火」と書いた新国立劇場の『コジ・ファン・トゥッテ』は,3月2日に中止の知らせが届いた。昨年秋,『エウゲニ・オネーギン』の最終日が台風のために中止になったが,ひとつの演目のオペラ公演全部が中止になるのは震災直後の『マノン・レスコー』以来である。
 3月は,『コジ』のほか,オケ伴の合唱,アマチュアオケの演奏会,ミュージカル1つの予定があったのだが,すべて中止になった。自分が出演するちょっとした本番とその練習もなくなって,3月のカレンダーには空白が広がっている。

 少し前に一眼カメラのズームレンズが故障し,ズームできなくなっていたので,2月28日,メーカーのサービスステーションに持参して修理を依頼した。1週間で直るということで,やれやれと帰宅して間もなく,そのメーカーからのメールが入り,サービスステーションやギャラリーのある施設を3月1日から19日まで閉館するという。これでは,レンズが直っても取りに行けない。

 今の大規模イベント等の自粛要請は,感染のピークを遅らせ,ピークの高さを低くして,医療がパンクしないようにしようという意図だという。しかし,感染者数等が顕著に減り始めないとピークを過ぎたとは判断できない。3月中旬までに「顕著」と認められなければ,結局はこのままの状態が続くことになってしまう。(今「自粛」と書こうとしたら,かな漢字変換のATOK君は皮肉屋で,「自祝」という字を出してきた。)

 某平日の午後4時過ぎ,某居酒屋にいたところ,客の平均年齢が高いその店では若手に属する顔なじみの男がやってきた。普通の勤め人だから,いつもならこんなに早い時間に来ることはない。どうしたのかと思って聞いたら,「実は在宅勤務になりまして」という。一区切りついたので,早いが出てきたとのこと。
 付け加えて言うには,「会社にいるときは,パソコンに向かっていれば,まあぼーっとしてても一応仕事してるように見えるんですけど,在宅勤務だと,何かしら成果を形にして残さないといけないんですよ」。なるほどそうか。
 他の客も交えてひとしきり COVID-19 の話になった。「あそこの飲み屋がいつになく空いましたよ」「電車も空いているね」「でも,この店はいつもと変わらないね」「ここ(1人客の常連が多い1階席)はいいけど,上の階は団体が来なくなってるんだって」「とか言いながら,こうして狭い空間に密集して飲むっていうのは,どうなんですかね」「いや,アルコール消毒ということで」

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Feb 29, 2020

閏年二月下旬日乗(下)

承前
 同じく2月25日,新国立劇場から,3月末までの主催イベント・上映会等中止の知らせがあった。翌日に行こうと思っていた大野和士による来シーズンのオペラの説明会もなくなった。
 しかしそれだけでは治まらず,翌26日,バレエ『マノン』を含むすべての主催公演を3月15日まで中止するという連絡があった。これが3月15日までとなっているのは,18日からのオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』の上演の可能性を残したものだと思うが,こちらも風前の灯火。『コジ』は中止になったとしても,4月の『ジュリオ・チェーザレ』は新制作なのでなんとか上演してほしい。

 27日(木)夜には,首相から全国の小中高休校の「要請」があり,これまで抵抗していた宝塚歌劇やディズニーランドも休止を決めた。歌舞音曲禁止,戒厳令状態になりそうだ。
 同じ27日夜,私が所属しているオーケストラの練習会場である区の施設が使用禁止になり,4月4日の本番を前にして2月29日から3月いっぱいの練習ができなくなった。この施設は老人施設がメインなので,これは致し方ない。あわてて他の区の施設を確保したが,その区の方針が変わって使えなくなる可能性もあるし,本番ができるかどうかはなんともいえない。
 同じ27日夜,知人が多い某アマチュア・オーケストラが3月1日の演奏会の中止を決めた。これは衝撃。昨秋には,90回記念の演奏会を盛大に開いたばかりだった。
 私の出身高校の吹奏楽の演奏会が3月下旬にあり,例年通りOB演奏も予定されていたが,学校が休校になってしまったので,とりあえずOB演奏は中止になった。演奏会自体も無理だろう。

 プロ・オーケストラの演奏会も続々中止になっているが,NHK交響楽団は,なにしろいまヨーロッパ演奏旅行中なので(表面的には)ひとり悠然と構えている。ヨーロッパ公演は4日のブリュッセルで終わる。帰国すると14日にオーチャード定期があるので,留守番の事務局は大慌てだろう。

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Feb 17, 2020

濃厚接触の環境――オーケストラの場合

 クルーズ船は別格として,タクシー,貸し切りバス,屋形船などの「一部屋」の空間が新型コロナウィルスによる肺炎感染の舞台になっている。そうした場所でおおむね2メートル以下の距離である程度以上の時間を過ごすと,濃厚接触ということになるという。
 従業員100人ぐらいの小企業の場合でも,普通の会社だったら,社員の大部分がひとつの部屋で同時に仕事をするという職場はあまりないだろう。一部屋だったとしても,事務作業にはデスクやキャビネットが必要だし,工場だったら設備や作業スペースが必要で,1メートルちょっとの間隔で人がいるということは考えにくい。
 こういう点に関して特殊なのはプロのオーケストラの職場である。オケには楽員以外の職員もいるし,楽員でも降り番の人がいるのでまったく「全社員」ではないが,一部屋の練習場に80人から100人がかなり密集して同時に仕事をする(文字通り「同時」で,0.1秒もずれるわけにはいかない)。1日あたりの勤務時間は普通の会社より短いが,週何日か練習場に集合する。
 ステージでの本番および直前のリハーサルの時は狭い一部屋ではないが,楽員の密集度は変わらない。在宅勤務というわけにもいかないし,少なくとも管楽器奏者はマスクをすることもできない。万一感染者が現れると濃厚接触を引き起こしやすい環境ということになってしまう。関係者は気が気ではなかろう。

 アマチュアのオーケストラは毎日練習があるわけではないが,一室で密集して練習するのは同じで,心配はある。私の所属するオケの本番は4月だが,それまでなんとか平安を保ってほしい。
 そのオケのメンバー夫妻が,ダイヤモンド・プリンセス号の次に横浜に入港するはずだったクルーズ船に乗る予定だったが,ツアーは中止になったという。まあ乗ってしまって降りられないというのではなくてよかったが。
 別の知人によれば,2月23日の「国技館5000人の第九コンサート」は中止になったとのこと。
 毎年のように行っていたカメラと写真の展示会「CP+」(横浜パシフィコ)も,今年は2月27日から開催予定だったが,中止になった。

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Jul 31, 2019

ドラム缶のベースギター――夏の思い出

 夏が来れば思い出す――中学のとき,というのは五十何年も前のことだが,毎年3泊4日の海のキャンプに出かけた。場所は三浦半島の先端近い小さな湾の奥にある合宿施設。学校にプールはなくて,このキャンプが水泳を習う唯一の機会であり,それまで泳げなかった私は,そこで中学1年のときに特訓を受けてやっと泳げるようになった。
 水泳以外の時間には,歌を歌ったり,ゲームやレクリエーションに興じた。このときに登場した年配のA先生は,生徒に歌を歌わせるために,なんと自作の楽器を持ってやってきた。それは,ドラム缶を立てて,上面に木の棒を水平に取り付け,そこに弦を張ったベースギターだった。
 弦は3本で,フレットはない。で,どうするかというと,弦を適当な調のド,ファ,ソに調弦し,主要三和音(ドミソ,ファラド,ソシレ)の根音を弾くのである。もちろん,簡単な歌でも主要三和音以外の和音を使うことはよくあるが,そのときは根音でなくともその和音に含まれている音で代用してしのぎ,最後をソ→ドと進行して終止すれば,けっこうそれらしくなる。で,私も弾かせてもらった。それまでメロディ楽器しか知らなかったので,ベースを弾くのはまったく初めてで,短い時間だったが低音楽器の快感を味わった。
 そのときの曲で覚えているのは「こおれる月影,空に冴えて」という歌詞で始まる「灯台守」である。原曲はイギリス民謡で,勝承夫の作詞だという。

 A先生は,中学生からするとかなりのおじいさんに見えたが,当時たぶん六十少し手前ぐらい。すでに学校を定年になっていて,嘱託かなにかで理科や技術家庭の授業をし,そのときは海のキャンプの手伝いにやってきたらしかった。ずっと後で知ったところでは,A先生の父は海軍の軍人でかつ東京帝大の教授,A先生自身も海軍の軍人で,A先生の弟は一人は戦前から戦後にかけて活躍した音楽評論家,もう一人の弟は古代日本語の音韻の研究で名を残して早世した言語学者なのだった。

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May 28, 2019

東京メトロの改札外乗り換え

 東京メトロの複数の路線を乗り継ぐとき,乗り換えの回数が少ない経路を選ぶ方が早く着くことが多いが,運賃は,実際の乗車経路と関係なく,最短距離の経路による合計の距離によって計算される。路線が密集した都心部では,1駅ずつ乗って3回乗り換えるといった非現実的なルートが最短距離だったりすることもよくあり,最低料金で行かれる範囲はかなり広い。
 ここで少し問題が生じうるのは「改札外乗り換え」である。東京メトロ同士の乗り換えでも,改札を一度出なければならない駅は,現在14ある。このうち,人形町駅(日比谷線)と水天宮前駅(半蔵門線),築地駅(日比谷線)と新富町駅(有楽町線)は2018年3月に乗り換え駅として追加された。

 この改札外乗り換えについての「掟」のうち,「オレンジ色の改札口から出る」「乗り換えは30分以内」というのはよく知られていると思うが,もうひとつ「乗り換え駅までの運賃が,所持している切符の料金を超えている場合は精算する(追加料金を支払う)」というルールがある。これは,少なくとも私は,10年ぐらい前まで知らなかった。
 例えば,丸ノ内線の御茶ノ水から有楽町線の護国寺までの運賃は,2駅目の後楽園で南北線に乗り換え,1駅乗って飯田橋で有楽町線に乗り換えるという距離 5.9km のルートで計算され,170円(切符の場合)である。しかし実際には,池袋乗り換えなら乗り換えは1回ですむので,こちらを選択する人は多いだろう。ところが,池袋駅は有楽町線と丸ノ内線とが別改札であり,しかも御茶ノ水・池袋間は200円なので,170円の切符で改札を出ようとすると精算,つまり30円支払うことを求められる(乗り継ぎの精算券が出るので,それで有楽町線の改札に入ることができる)。
 最短距離で計算することはお互いにとって利益があるのに対して,別改札かどうかは乗客と関係なく東京メトロの事情であり,そのために30円余分に払わなければならないのはおかしいと思う。とはいうものの,もしここで精算しないで出ることを認めると,200円の区間を170円で乗れることになってしまうので,これはこれでまずいということなのだろう。

 もう一つの問題は,「不可逆性」である。上記のルートを逆に,つまり護国寺から乗って池袋で乗り換え,御茶ノ水で降りる場合は,護国寺・池袋間が170円なので,170円の切符で問題なく有楽町線からの乗り換え改札口を出ることができ,そのまま御茶ノ水で下車できる。つまり,同じルートが,行きは200円,帰りは170円ということが起きる。これは公共交通の料金としては異例の事態である。
 ICカード(Pasmo等)だったら,最初の線の改札を出るときにとりあえず(いや正確には「敢えて取る」?)30円差し引き,30分以内に乗り換えて170円区間の駅で降りるときに精算,つまり30円払い戻す,ということもできると思うのだが。

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 先に書いた山手線上野駅の発車メロディーを,先日聞いてきた。
 予想通り「だれも寝てはならぬ」のメロディーで,

_CDEDCDH|A---|_DEFEDEC|H-C-DDEF|G---
   半角1字が8分音符の長さ,「_」は8分休符,
   「-」は8分音符分の伸ばし

という具合に,2・5小節目の全音符を短くして無理やり4小節の長さにしてあった。

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May 20, 2019

クリムト,シューベルト,シェーンベルク

 東京ではいま,クリムトを中心とした展覧会が2か所で開催されているが,そのうちのひとつ「ウィーン・モダン クリムト,シーレ 世紀末への道」(国立新美術館)を見てきた。クリムト,エゴン・シーレ,ココシュカが中心だが,タイトルのとおり「そこに至る道」についての展示が充実しているのがミソ。
 音楽家もいろいろ登場していて,シューベルトの有名な肖像もあった。しかし,予備知識なく見てびっくりしたのは,シューベルトの眼鏡(!)が展示されていたことだった。

 ほかにおもしろかったのは,シェーンベルクが描いた3点の絵。うち1枚はアルバン・ベルクの肖像,もう1枚はマーラーの葬儀を描いたものだった。さらに,オーギュスト・ロダンの描いたマーラーの肖像があった。
 クリムトは「エミーリエ・フレーゲの肖像」だけ特別待遇で「個室」に展示され,写真撮影可になっていた。

 同展は東京は8月5日まで。引き続き8月27日からは,国立国際美術館(大阪・中之島)で開催されるとのこと。ただし,クリムト,シーレ等は東京より少なくなるらしい。
Aap5059967

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