日記・コラム・つぶやき

Jul 20, 2017

禁煙の歩み

 昔は,少なくとも男はタバコを吸うのが当たり前だった。遠い学生時代に,何かの集まりでの自己紹介で「タバコは吸いません」と言ったら,「じゃあ,酒と女だけか」とからかわれたりした。大学に入って間もないころだったから未成年だったわけだが,吸わないのは少数派だった。
 そのころ,というのは60年代末から70年代初めだが,ハイライトは80円,セブンスターは100円だった。狂乱物価前のことで,100円あれば学生食堂はもちろん,町の大衆的な食堂でも昼食が食べられた時代だから,タバコを吸わない私は,80円もするタバコを友人たちがしょっちゅう買っているのが不思議だった。
 習慣として吸ったことはないが,友人からもらったりして吸ってみたことはある。当時から喫煙と肺がんとの関係は指摘されていたので,ある飲み会のとき「税金払って肺がん買う気はしないよ」と言ったら,某友人は「じゃあ,今日は税金の方はオレが払う」と言って1本恵んでくれた。
 鉄道も,国電(山手線,総武線など国鉄の都内・近郊電車)や近距離の私鉄など以外は喫煙が前提となっていて,席には灰皿が備え付けてあった。国電も,駅はもちろん喫煙可だった。東海道新幹線に禁煙車が登場するのは,1976年のことである。それも最初は「こだま」の自由席1両のみだった。
 70年代前半に就職した職場でも,当時はみな自分の席で吸っていた。「タバコを吸っている方が,何か考えているみたいに見えて,いいんですよ」などと言う先輩もいたし,パイプを机に並べている人もいた。30人ぐらいの大部屋にいたので,夕方になるといつも部屋の向こうが少しおぼろげになっていた。年末の大掃除のときには,金属のキャビネットなどに付着した黄色いヤニを落とすのに何時間もかかった。

 厚生労働省のサイト(→参照)によると,男の喫煙率は1971年がピークで83.7%,以後下がり続けて,2016年には29.7%になったという。喫煙派が50%を割ったのは2002年である。
 80年代になってからだと思うが,東京文化会館のホワイエに「禁煙コーナー」ができた。しかしそれは比較的短期間で逆転し,「喫煙コーナー」に変わった。それがさらに屋外に追いやられたのはだいぶ後のことである。

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Jul 09, 2017

訃報:後藤美代子氏

 NHKでオペラを中心とする音楽番組を長く担当していたアナウンサー,後藤美代子さんが7月5に亡くなった。享年86歳。
 後藤さんといえばまずはFMの「オペラアワー」。私がオペラを見始めた1970年代,あらすじを紹介する後藤さんの落ち着いた声は,ラジオ・テレビの他のどのアナウンサーよりも耳にお馴染みだった。
 訃報での紹介によれば,1953年のテレビ放送開始と共に女子アナ1期生としてNHKに入ったとのこと。定年退職後は,オペラの会場でも,その小柄な姿をよく見かけた。

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Jul 07, 2017

「バベルの塔」の大きさ/将棋棋士の勝率

 6月某平日,東京での会期末が迫った「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」(東京都美術館)を見に行った。ヒエロニムス・ボスなど興味深いものはたくさんあったが,目玉は「タイトルロール」の「バベルの塔」。巡礼の道を行くように,順序に従って上の階へ登って,最後にご本尊の登場となる。
 「バベルの塔」の内容は壮大だが,絵の実際の大きさは60cm×75cmほどで,それほど大きいわけではない。そのぶん隅々まできわめて細密で,その細密度は「子供の遊戯」「謝肉祭と四旬節の喧嘩」などを大きく上回り,人間は豆粒より小さい。「バベルの塔」コーナーの入り口に,塔の1階部分の超拡大図(ほぼ「実物」大?)があったが,それを見ても細部の形は非常にきちんとしている。
 人間の大きさなどから推測すると,絵の中の塔の高さは550mぐらいになるという。東京スカイツリーに迫る高さである。しかも,スカイツリーは鉛筆のように細いのに対し,この塔は,高さとの比率からすると底部の直径が400mぐらいはある巨大な建物である。旧約聖書の時代にこれを作ったとしたら,仮に神の怒りがなかったとしても力学的に持たないのではなかろうか。
 (同展は,今年 7/18-10/15に国立国際美術館(大阪)で開催)

 6月の話題沸騰の14歳は卓球の張本智和と将棋の藤井聡太四段。将棋が棋戦主催社以外の新聞の1面にしょっちゅう登場するなどということは,かつてなかった。
 藤井は,連勝記録はとぎれたが,デビュー以来30勝1敗(7/6現在)。日本将棋連盟のサイトによると,プロ棋士の通算勝率は羽生善治の0.7151が最高で,以下6割台後半は佐藤天彦,渡辺明の2人のみである。ということは,藤井がこれから11連敗すると30勝12敗となってようやく現在の羽生の勝率を下回るということになる。実際には今後しばらくは少なくとも勝率7割以上でいくだろうから,勝率が他の棋士と比較されるようになるのはかなり先になるだろう。

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Jun 22, 2017

新国立劇場『ジークフリート』

 某休日,新国立劇場の『ジークフリート』を見た。新制作というものの,故ゲッツ・フリードリヒの演出をフィンランド国立歌劇場から借りた舞台である。
 1987年に初めて見た『リング』(ベルリン・ドイツオペラ)がゲッツ・フリードリヒだったのでなつかしさはあるが,その後のクプファー演出やキース・ウォーナーの「トーキョー・リング」を見た目には新演出というときめきは感じない。それでも,ひとつのリングとして完成度はなかなかのものだった。全体に,短いのにしまりのない最初の『ラインの黄金』(2015年10月)に比べて『ワルキューレ』(2016年10月)は格段に良かったが(→参照),今回も『ワルキューレ』とほぼ同じ水準を保持したように思う。オケは今回は東響(今までは東フィル)。
 歌手はみな立派だった。タイトルロールのステファン・グールドは,とても普通の少年には見えず,相撲の新弟子のようだったが,声は若々しく,けっこう身軽に動いていた。ブリュンヒルデは『ワルキューレ』の終幕から1年間岩山で寝ていたわけだが,そのブリュンヒルデを守っていた炎は,ジークフリートが登場するとすぐ自動消火されてしまった。これでは英雄でなくても越えられる。それもヴォータンの意図ということか。
 ちょっと変わっていたのは,森の小鳥の役を黄白赤緑の4人で分担して歌ったこと。順番に木の上で歌い,さらにバレリーナも1人加わっていた。

 この物語では,ジークフリートはミーメに育てられたことになっている。周囲にほかに人間がいなかったようなので,ジークフリートは言語をすべてミーメに教わったことになる。1人の,それも男から習得する言語はどういうものになるのだろう。「女」という言葉を知っているようだが,見たことがなくてどう理解していたのだろう。
 元言語学徒としてはいささか気になるところだ。

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Jun 13, 2017

森の中――祖母・伯母,曾祖母

 幼いころ,というのは4,5歳ぐらいのときのことだと思うが,血縁関係というものがなかなか理解できなかった。おばあちゃんというはお父さんのお母さんなのだということはやがてなんとかわかったが,よくやってくる3人の伯母さんがどういう人なのかはわからなかった。当時私にはまだきょうだいがいなかったし,祖父母も1人しか知らなかった。
 伯母たちは,ひとりずつ,または連れ立ってやってきては,祖母や母とお茶を飲みながらおしゃべりをしていた。どうも近所のおばさんとは違うようだが,さてどういう「知り合い」なのだろう。そこで一生懸命考えたのは,昔々,森の中で焚き火を囲んだ集会のようなものがあって,「あなたと知り合いになりましょう」という相談をして知り合いになった,という筋書きである。森の中でというのはたぶん,当時よく聞いていた「森の小人」(森の木陰でどんじゃらほい…)という歌の影響だ。
 もちろん,当時こんなことを考えたとはっきり覚えているわけではない。ただ,「森の中」の記憶がかすかにあるのは,特に大人の血縁関係がかなり後までぴんとこなかったからだという気がする。

 祖父母というのは全部で4人いるはずだが,上に書いたように私は直接には1人しか知らなかった。これにひきかえ,2月に生まれたうちの孫は,祖父母それぞれの母,つまり曾祖母4人のうち,3人が健在である。
  (参照:→「曾祖母の秘密」)

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Jun 07, 2017

珈琲店と喫茶店/交流中

 このごろ,「星乃珈琲店」という看板が,繁華街の家賃の高そうな場所に増殖している。しかも,外の椅子で待っている人が絶えない。ウェブサイトによると店舗は全国で190ほどあり,ドトール・日レスホールディングスのグループ会社だという。飲み物のほかスフレとかサンドイッチ類等の多彩なメニューで,客単価を上げる努力をしている。
 価格は店舗によって違うらしいが,最高ランクと思われる大繁華街の某店ではブレンドコーヒーが600円。カフェの値段に慣れてしまった感覚からすると高いが,40年前に200円ぐらいの昼食を食べたあと喫茶店で150円のコーヒーを毎日飲んでいたころに比べると,相対的に特に高いわけではない。
 コーヒーが1000円近くする高級店「椿屋珈琲店」のチェーンも堅調のようだ。椿屋の店舗のいくつかは,かつての「談話室滝沢」を引き継いだものだ。
 そのほか,入ったことはないが,名古屋発祥の「コメダ珈琲店」のチェーンも東京に店を増やしている。
 かつての喫茶店文化はすっかり衰えてしまったが,いろいろな形で,ある程度は生き残っている。神保町周辺でも,老舗の「ラドリオ」「ミロンガ」「さぼうる」などのほかに,町を歩いていると,狭い道に小さな喫茶店の看板がひょこっと出ているのに出会う。

 プロ野球は5月末から交流戦の季節になった。各チームとも相手リーグの6球団と各3連戦,計18試合で,今は3カードめがパリーグ本拠地で開催されている。今日は,BSでは交流戦3試合の中継があった。
 交流戦はいつもパリーグが強い。去年はセリークで勝ち越したのは広島だけだった。今年はセリーグもこれまでよりはまあがんばっていて,順位でいうと上位半分はセパ3チームずつである(7日終了時現在)。ただし,ヤクルト・巨人が共に0勝(ヤクルトは1分あり)で,総計ではパリーグが54勝40敗2分と大きく勝ち越している。

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May 30, 2017

聖母子像

 「大エルミタージュ美術館展」を見に行った(六本木・森アーツギャラリー)。エルミタージュ美術館の基になるコレクションを始めたのはエカテリーナ2世で,展示の最初にエカテリーナの大きな肖像があった。夫である皇帝をクーデターで追い出して自ら皇帝になった女傑エカテリーナだが,この肖像は比較的穏やかな表情だ。
 展示の英語タイトル Old Masters from the State Hermitage Museum のとおり,中心は16~18世紀の作品。収集された作品群の質の高さはさすがである。
 クラーナハの「林檎の木の下の聖母子」もあった。これまで聖母子の絵をいろいろと見てきたが,いつも思うのは,「子」のイエスがやたらと大きいこと。もちろん,東方三博士来訪の場面などでなければ生まれてすぐの姿でなくてもいいわけだが,このクラーナハのは特に大きくて,どう見ても3,4歳だ。それなのに裸なのは,一応は赤ん坊ですといいたいのだろう。たしかに,正直に乳児として描いたのではサマにならないのだろうが,もう少し幼い「子」の聖母子像があってもよさそうに思う。
 オペラ『蝶々夫人』の幕切れに登場する蝶々さんの子供は2歳のはずだが,舞台に出てくる「子役」はやむを得ず5歳ぐらいのことが多いのを思い出してしまう。

 やんごとない方がらみのニュースに先ごろ登場した男性の姓名を見て,小室等+小椋佳みたいと思った人は多いだろう。ただし,小椋はペンネーム・芸名で,かつ名はにんべん付きの「佳」である。

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May 28, 2017

春キャベツ/駿河台下交差点

 ホタルイカのシーズンは普通は5月の連休の後まもなく終わるが,スーパーでも居酒屋でも,今年はまだ出回っている。富山湾産以外は少し遅くまであるのかも。

 春キャベツと春タマネギは,どうやってもおいしいが,これもそろそろシーズンの末期を迎えている。
 春キャベツは,さっとゆでて肉類の付け合わせにするのが私の基本的な使い方だが,今シーズンは,CookDo の「きょうの大皿」シリーズのひとつを使って,「とろ卵豚キャベツ 海鮮うま塩炒め」を何度か作った。先述の「まるよし」のキャベ玉炒めにちょっと似た仕上がりになる。
 先日,新宿区内の某居酒屋で,「三浦の春キャベツと豚肉炒め」というのがあって,三浦半島出身者としては迷わず注文した。後で調べたら,ネット上の『デジタル大辞泉プラス』にも「三浦キャベツ」という項目があった。

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 いろいろな顔を持つ神田神保町だが,他の街と同じチェーン店も増えてきた。洋服店は「スーツ・セレクト」などが少し前からあったが,「書泉ブックマート」のビルに「ABCマート」が入ったのに続き,2017年になってから「ドンキホーテ」ができた。「ABCマート」と向かい合っているので,駿河台下の交差点の風景はかなり変わった。
 昔からある町の靴屋さんに行ったとき,「ABCマートができたんですね」と言ったら,「まあ,うちの品物とは競合しないと思うんですがね」と落ち着いていた。

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May 22, 2017

都電 バラの季節

 都電荒川線沿線のバラが見ごろを迎えている。某平日,王子駅前電停のホームで一日乗車券(\400)を買って,最初は荒川車庫前で下車。以下,いくつかの駅で乗り降りした。
 バラの種類が多い上に,都電の塗色もいろいろなので,花と電車の組み合わせは無数といってよい。荒川区のウェブサイトによると,バラの種類は140にもなるという。明るい曇りで,適度なコントラストの写真になった。
   (クリックすると大きい写真が出ます。)
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May 12, 2017

東武の新しい特急「リバティ」に乗車

 某平日,東武スカイツリーラインを4月21日から走り始めた新車両による特急「リバティ」に乗りに出かけた。始発の浅草駅を11時出発。野岩鉄道に直通して会津田島まで行く3両「リバティあいづ」の後ろに,東武日光へ行く3両「リバティけごん」が連結されていて,両者の間にはちゃんと貫通路がある。ニュース等をよく見ていなくて,乗るときに初めて知ったのだが,「リバティ」というのは Revaty と綴られる。variety と liberty に由来するというが,ちょっと強引な造語だ。
 最初はすいていたが,北千住でかなりの人が乗ってきて,8割以上席がうまった。急カーブを身をくねらせるように走っていた電車が,北千住を過ぎると息を吹き返し,複々線を快調に飛ばす。4月1日に改名した「獨協大学前」(もと「松原団地」)も一瞬で通過した(この駅にちなむ思い出については →参照)。
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 「あいづ」と「けごん」は下今市で切り離しになる。貫通路はふさがれ,何人もの人の確認を経て,切り離し作業が終わって,「あいづ」が先に出発した。曇っていたが,田畑と山の新緑が目にしみた。12:51 東武日光着。
 日光まで来たものの,特に用事があるわけではない。かといって,修復された陽明門を見に行くほどの時間はない。結局,駅近くを少し歩き回ったあと,「ゆばトマト雑炊」で昼食とする。

 帰りはJR日光線に乗るつもりでいたが,変更して 14:23 発の「リバティ」にした。行きと反対に下今市で鬼怒川方面からの車両を連結した。しかし間もなくアナウンスがあって,春日部の方で人身事故があったということで,途中の板倉東洋大前駅でしばらく止まるという。特急券はもちろん買ってあったが,乗車券はICカードという「気楽な身分」だったこともあり,JRにも乗れる駅ということで,栃木駅で下車した。
 しかし,JRの次の電車が1時間後なのに対し,東武の14:41の各駅停車・南栗橋行きは時刻どおり動くというので,これに乗った。後続の特急2本は運休だという。途中,板倉東洋大前駅では,先ほどまで乗っていた「リバティ」が止まっていて,わが各駅停車は何事もなかったかのように停車し,先に発車した。
 次のJR接続駅の栗橋で下車し,上野東京ラインの電車に乗る。栗橋のホームで待っているときに,さっき抜かした「リバティ」が通過していった。16:10ごろ開通したらしい。ほかに栗橋からJRに転線する特急が通過した。
 結局,最初の予定(JR日光線)より1時間ほど遅れて帰宅した。

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 1月から,都営地下鉄の神保町駅が3年がかりのリニューアル工事に入った。これより先,同じく都営地下鉄の日比谷駅も工事を始めた。こちらは2年がかり。東京メトロでは,大手町などで大きな工事をしている。特に丸ノ内線のホームは暗い状態が続いている。
 既存の駅の工事は,人と電車の通行を確保しながら進めなければならないので,効率が悪く,どうしても年月がかかる。

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