オペラ

Aug 05, 2018

終わりと始まり――猛暑の夏

 新国立劇場のオペラは,7月の『トスカ』で2017-18シーズンが終わった。
 『トスカ』は,故アントネッロ・マダウ=ディアツ演出で,2000年9月のプレミエ以来,今回が5回目の上演。何度見ても圧倒される豪華で美しい舞台で,成熟した歌と演奏が堪能できた。前回の2015年のときは,トスカ役が第2幕から交代するという事件があった(→参照)。
 オペラ芸術監督の飯森泰次郎氏は8月末で任期を終え,9月から大野和士氏が就任する。といっても,オペラの予定は公演の3年前には決まっているらしいから,4年間の任期中の上演予定はもうほぼ固まって,こんどはその実施に向かって突き進むのだろう。
 なお,バレエの次期芸術監督(2020年9月から4年間)には吉田都氏が就任するとのこと。

 8月1日に孫(長女の第1子)が生まれた。母子ともに元気でほっとした。孫は昨年2月に続いて2人目で,前回(→参照)と対照的に真夏の誕生になった。

 昨日8月4日,サッポロライオンのチェーン店では「ビヤホールの日」で,生ビールがすべて半額だった。毎年案内のメールをもらっていたが,今年初めて半額ビールを享受した。

 今日8月5日,甲子園の高校野球第100回大会が,松井秀喜の始球式で開幕した。例年にもましてあつい戦いとなりそう。

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Jul 11, 2018

怪獣たち/大水害/短信5:あと3試合

 西日本の広域大水害は「平成最悪」の事態となった。しかしほかにも,先週から今週にかけて,オウム事件関係7名の死刑執行,タイの洞窟での13名遭難と救出,大口病院事件で元看護師逮捕,大谷が代打で決勝大ホームラン,小田急のロマンスカーLSE 7000形の最終運行など,次々といろいろなことがあった。6月の話題の中心だった紀州のドン・ファンはどこかへ行ってしまった。
 加藤剛に続き,今日7月11日に新聞には作曲家オリバー・ナッセン(Oliver Knussen)の訃報が載った。有名な絵本『かいじゅうたちのいるところ』(原題 Where the Wild Things Are 日本語版は冨山房刊)によるオペラを作曲した人として名前を知ったが,享年66歳で,私より若いのだった。

 このたびの水害では,広島県呉市も被害を受けた。
 呉には10年以上前に一度行ったことがある。呉は,私の郷里の横須賀と同じく旧海軍の鎮守府と工廠の町だったので,地形的条件も似ているだろうと予測していたところ,呉線の車窓から見る風景は実際に横須賀とよく似た雰囲気だった。(記録は →参照
 水害のニュースで,被災地として呉市安浦町という地名が出てきたので,テレビの前で「あ」と声を出してしまった。平凡な文字だから同じ名があっても不思議はないが,横須賀にも安浦という地名があるのである。横須賀の安浦は,旧安田財閥の祖・安田善次郎が埋め立てたことによる命名なので,自然地名ではないが。
 オールスター前最後のカード,広島―阪神 3連戦(9日から,広島球場)は中止になった。やむを得ないとは思うが,広島の試合はこれまでに雨ですでに7つ中止になっているので,9月がたいへんな日程になりそうだ。
 高校野球の広島県予選は,7日の予定だった開幕が17日に延期になった。

 この間,FIFAワールドカップは決勝トーナメントが進み,南米のチームはすべて敗退して,準決勝に進んだのはフランス,ベルギー,クロアチア,イングランドのヨーロッパ勢のみとなった。準決勝ではまず,ベルギーがフランスに敗れた。日本がベルギーと戦ったのは9日前のことだったが,もはや遠い過去となった。
 残りは準決勝もう1試合と決勝,3位決定戦の3試合。

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Apr 09, 2018

April Show オータニとアイーダ

 大谷翔平がすごい。今朝(4月9日)は,途中からだが,生中継で快投を見た。It's Sho Time!
 1週間で,投手としては2試合13イニング投げて,奪三振18,被安打4,与四球2,失点3,防御率 2.08,打者としては指名打者で3試合に出て,6安打,3本塁打,7打点,打率 .461。けっこうやるだろうだろうと思っていたが,日本ハムでの2017年は出場が少なくていまひとつだったこともあり,大リーグで最初からこれほど活躍するとは思わなかった。
 もちろん,相手も大谷の投球・打撃に慣れてくるだろうからずっとこのペースで行けるわけはないが,いろいろな状況に騒がずあせらず対処するのに十分な度胸も身についてきているようで,頼もしい。

 もうひとつ速報。昨日(4月8日),新国立劇場の『アイーダ』を見た。今回は堂々の7回公演で,昨日はその2回目。
 20年前のオープニング時に制作された壮大なゼッフィレッリ演出の上演は今回が5回目だが,私はプレミエは買う努力をせずにパス,2回目は申し込みはがきを上着のポケットに入れたまま投函するのを忘れてしまって見られなかったので,見るのは2008年,2013年に続いて3回目だった。
 今回の歌手(韓国出身のアイーダ,ウズベキスタン出身のラダメス,ロシア出身のアムネリス)の特徴は,いずれも声が非常に大きいこと。しかも,十分美しい声で,トゥッティの強奏の上をどんどん越えてくる。これに妻屋秀和さんのランフィスも立派に対抗していた(温和な丸顔がちょっといかめしくないけれど)。
 カーテンコールでは,指揮者が,オーケストラのオーボエ奏者(第3幕の美しいオブリガートを吹いた)を立たせたのがちょっと珍しい場面だった。
 もうひとつ珍しかったのは,帰りの出口で,協賛会社から缶ビールが配られたこと。好まないビールだったが,もらえるものはありがたくいただいた。
 (『アイーダ』第3幕については →参照

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Dec 08, 2017

新国立劇場20周年のシーズン

 新国立劇場が今年10月で開場20周年を迎え,記念のシーズンが進行中である。大ホールでは,開演前および休憩時に,3階左右の客席のいちばん舞台寄りのバルコニーに「新国立劇場 20th Anniversary」のロゴが投影されている。オペラはこれまでに『神々の黄昏』『椿姫』『ばらの騎士』が上演された。
 10月の『神々の黄昏』は,飯森泰次郎/ゲッツ・フリードリヒによるヘルシンキとの提携による「リング」(ニーベルングの指輪)の完結編。最初の『ラインの黄金』は2015年10月,次の『ワルキューレ』は2016年10月で,間が1年あいたが,その次の『ジークフリート』は2017年6月で間は8か月,最後の『神々の黄昏』はそれから4か月で,2年で完結の日を迎えた。私が最初に見た「リング」は同じゲッツ・フリードリヒ演出のベルリン・ドイツオペラ来日公演(1987年)だったから,30年ぶり2回目のフリードリヒ演出となった。
 前の「リング」は,今は細部はほとんど覚えていないが,なにしろ初めてだから衝撃は大きかった。『神々の黄昏』は4部作の最後で,奏でられるモティーフはすべて既知のものなのに,それによって編まれるドラマの高揚は比類がなく,特に「リング」の中で唯一合唱が登場する第2幕は恐ろしいほどの迫力があった。今回も,暗い照明の中でギービヒ家の軍勢が槍を立てて集合し,その迫力のドラマが再現された。
 11月末からの『椿姫』は2年半前のプレミエ以来2回目。舞台は青が基調で,全体に暗く,パーティーの場面などにも華やかさは乏しい。歌はかなりの水準。
 12月の『ばらの騎士』は2007年6月プレミエ以来4回目のジョナサン・ミラー演出。このうち2回目は2011年4月で,震災後初めてのオペラ上演だった。『椿姫』と対照的に外から光がふりそそぐ明るい舞台で(もちろん第3幕は別),指揮・オーケストラは精妙。歌手はすべて良く,特にゾフィーは透明でしかも味があるすばらしい声だった。(おばさん顔なのがちょっと…。)

 今日12月8日は実は私の誕生日なのだが,一般的にはまずは真珠湾攻撃の日(1941)(ただし米国時間では7日)だろう。次いでジョン・レノン殺害の日(1980),その間に力道山が刺されるという事件(1963)(1週間後に死亡)もあり,あまりいい日ではない。この日生まれたのは,シベリウス,マルティヌー,カミーユ・クローデルなど。

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Jul 09, 2017

訃報:後藤美代子氏

 NHKでオペラを中心とする音楽番組を長く担当していたアナウンサー,後藤美代子さんが7月5に亡くなった。享年86歳。
 後藤さんといえばまずはFMの「オペラアワー」。私がオペラを見始めた1970年代,あらすじを紹介する後藤さんの落ち着いた声は,ラジオ・テレビの他のどのアナウンサーよりも耳にお馴染みだった。
 訃報での紹介によれば,1953年のテレビ放送開始と共に女子アナ1期生としてNHKに入ったとのこと。定年退職後は,オペラの会場でも,その小柄な姿をよく見かけた。

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Jun 22, 2017

新国立劇場『ジークフリート』

 某休日,新国立劇場の『ジークフリート』を見た。新制作というものの,故ゲッツ・フリードリヒの演出をフィンランド国立歌劇場から借りた舞台である。
 1987年に初めて見た『リング』(ベルリン・ドイツオペラ)がゲッツ・フリードリヒだったのでなつかしさはあるが,その後のクプファー演出やキース・ウォーナーの「トーキョー・リング」を見た目には新演出というときめきは感じない。それでも,ひとつのリングとして完成度はなかなかのものだった。全体に,短いのにしまりのない最初の『ラインの黄金』(2015年10月)に比べて『ワルキューレ』(2016年10月)は格段に良かったが(→参照),今回も『ワルキューレ』とほぼ同じ水準を保持したように思う。オケは今回は東響(今までは東フィル)。
 歌手はみな立派だった。タイトルロールのステファン・グールドは,とても普通の少年には見えず,相撲の新弟子のようだったが,声は若々しく,けっこう身軽に動いていた。ブリュンヒルデは『ワルキューレ』の終幕から1年間岩山で寝ていたわけだが,そのブリュンヒルデを守っていた炎は,ジークフリートが登場するとすぐ自動消火されてしまった。これでは英雄でなくても越えられる。それもヴォータンの意図ということか。
 ちょっと変わっていたのは,森の小鳥の役を黄白赤緑の4人で分担して歌ったこと。順番に木の上で歌い,さらにバレリーナも1人加わっていた。

 この物語では,ジークフリートはミーメに育てられたことになっている。周囲にほかに人間がいなかったようなので,ジークフリートは言語をすべてミーメに教わったことになる。1人の,それも男から習得する言語はどういうものになるのだろう。「女」という言葉を知っているようだが,見たことがなくてどう理解していたのだろう。
 元言語学徒としてはいささか気になるところだ。

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Apr 02, 2017

続『ルチア』/東京新聞の4月1日

 前項の『ルチア』の続き――
 私はベルカントは必ずしも得意種目ではないが,中ではドニゼッティをいちばん多く見ている。その中でも『ルチア』はトップで,今回が7回目だった。最初に見たのは1977年の二期会で,ルチアは去年亡くなった中沢桂氏。ほかに,印象に残っているルチアは87年藤原歌劇団の出口正子氏で,世界に通用するルチア歌手として話題になった。
 新国立劇場は2002年秋にも『ルチア』を上演している。そのときの演出は1回でお蔵入り,いやお蔵に入ればいいのだが,入らずに終わったことになる。このとき私が見た日のルチアは(当時はダブル・キャストだった)チンツィア・フォルテという声の大きそうな名の人だった。
 ところで,『ルチア』の筋立ては『運命の力』に似ている,と今回思った。共に,ヒロインの兄が家のことをのみ考えていることが悲劇の源になっていて,最後は主要人物3人が死んでしまう(『運命の力』初版の場合)。

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 たくましく反体制路線を貫いている東京新聞の4月1日朝刊「こちら特報部」面は,(たぶん久しぶりに)エイプリル・フール記事だった。トップ記事は「「AI町議」大暴走 カジノ開設で伝統の梅林破壊 「歳入ファースト」設定原因?」。おもしろかったのは「ツイッター 起源は奈良時代? 木簡に140字制限 「忖度」や「#」の記述も」。
(エイプリル・フール記事については,このブログの最初期の2004年4月1日に書いたことがある。→参照

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Mar 28, 2017

新国立劇場の『ルチア』/開いたチューリップ

 定番名曲路線を走る新国立劇場の今シーズンの演目の中で,「指輪」以外の唯一の新制作演目が3月の『ルチア』だった。もともと持っていた切符を振り替えて,行ったのは5回公演の最終日。主要歌手4名はいずれも,美しいメロディがとめどなくあふれてくるドニゼッティ節を堪能させてくれて,客席は大いに沸いた。歌手はカーテンコールではかなり弾けて,オケピットやプロンプターボックスに手を伸ばして握手したり,合唱のメンバーの手を引っ張って前に出るように促したりしていた。
 「狂乱の場」のオブリガートは,フルートでなく大型のグラスハーモニカで演奏された。これが作曲者の元々の意図だという。フルートのようにソプラノにぴったり寄り添って溶け合うのではなく,神秘的な音でほわっと包み込むような非現実的な響きで,「狂乱」というより「幻視の場」だった。奏者のレッケルト氏は,50以上の歌劇場で『ルチア』を演奏してきたとのこと(→参照)。
 演出家はモナコのモンテカルロ歌劇場の総監督で,この『ルチア』はモンテカルロでも上演されるが,それはまだ2年半も先のことである。(モンテカルロ歌劇場のサイトには,東京初日の映像つきニュースが出ている。)

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 東京・靖国神社の標本木の桜はいち早く開いたようだが,その後は寒い日が続き,開花はあまり進んでいない。見ごろは来週になるのでは?

 春が来ると思い出す。今は昔,息子が3歳ぐらいのとき,ベランダに置いてあった鉢植えのチューリップを見て,「チューリップ,開いてきたよ」という。そうか咲いたかと見に行ったら,花の形がなんとなくおかしい。実は恐ろしいことにこの「開く」は他動詞で,「チューリップ(を,僕が手で強引に)開いてきたよ」という意味だったのである。

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Mar 11, 2017

オペラ関係の訃報――クルト・モル,アルベルト・ゼッダ

 バス歌手クルト・モル氏と,音楽学者・指揮者アルベルト・ゼッダ氏の訃報を相次いで聞いた。
 クルト・モル氏は1984年から2002年まで8回も実演に接した非常になじみ深い歌手である。まだ78歳だった。2006年7月に引退したときのことはこのブログにも書いたが,当時67歳だったことになる。以下はそのとき書いたもの:

 モルは,1984年,ハンブルク州立歌劇場来日公演の『魔笛』のザラストロを聞いたのを皮切りに,ポーグナー,騎士長,オックス男爵,マルケ王,ロッコ,グルネマンツなどで,深々とした声を堪能させてくれた。
 思い出の中で頂点をなしているのは,1988年秋のバイエルン州立歌劇場が当時のミュンヘンのフェスティバルと同じ超豪華メンバーで上演した『マイスタージンガー』のポーグナーと,1994年のクライバー=ウィーン国立歌劇場『ばらの騎士』のオックス男爵である。共に,もはや伝説の舞台となった。

 アルベルト・ゼッダ指揮のオペラを見たのは,このブログにも書いたが,2008年,藤原歌劇団のロッシーニ『どろぼうかささぎ』1回だけである(→参照)。しかし,ゼッダ氏はロッシーニ・ルネサンスの立役者であり,『どろぼうかささぎ』のほか,『アルジェのイタリア女』『ランスへの旅』『湖上の美人』などに接する機会を得られたのは,元はといえばゼッダ氏によるところが大きい。

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 相変わらず,週2~3回,神保町近くへ通っている。古書店の街,スポーツ用品店の街,カレーの街であり,またオフィスビルも多い神保町だが,学生の街という側面は今も「健在」である。
 2月の上旬・中旬には,地下鉄の出口に,明大・日大などの受験生のための案内人がプラカードを持って立っていた。3月になると,こんどは就活スーツの学生が街に多くなった。間もなく卒業式,入学式と,季節は移りゆく。

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Nov 26, 2016

粟國『ラ・ボエーム』と雪

 新国立劇場の今シーズン2つめの演目は『ラ・ボエーム』。美しい舞台による粟國淳のこの演出は2003年以来5回目になる。今シーズンの新国立劇場は新制作も含めて徹底した定番名曲路線で,まったく刺激のないラインナップだ。前年度はヤナーチェックやマスネがあって,それぞれ好演だったのだが。
 しかし,今回実際に『ラ・ボエーム』の上演に接してみると,歌手と指揮者が毎回違うこともあり,カルチェラタンの群衆の場面ではやっぱり心躍り,ミミの死はやっぱり悲しい。常に新鮮なのが名曲,ということか。歌手もほぼ満足の出来で,しかもミミはほっそり美人だった(トスカは太っていてもまあ許されるけれど,ミミは細くないと…)。
 『ラ・ボエーム』は長さも手ごろ(昔風にいうとLP2枚)なのがよい。4幕仕立てで,第1・2幕は同じ日(クリスマスイブ),3幕は2月の夜明け前,4幕は1幕と同じ屋根裏部屋ということで,きれいに起承転結をなしている。
 と書いていて,『ラ・ボエーム』の構成は『アイーダ』とよく似ていることに気づいた。ともに第2幕では群衆が登場し,3幕は夜,4幕は少人数での死の場面である。

 『ラ・ボエーム』第3幕にちなんでか,11月24日に雪が降って驚いた。関東南部で11月の雪は1962年以来54年ぶりだという。1962年といえば,私は中学1年。年内はコートを誰も着てはならぬという校則があったから,当時海のそばだった学校は寒かっただろうと思うが,もちろん記憶はない。
 何日か前から「24日は平野部でも雪,最高気温は3度」という予報が出ていて,今ごろほんとに降るのかなと思っていたのだが,予報は当たって朝からみぞれとなり,やがてうっすらと積もった。真冬モードの必殺ヒートテックのおかげで寒くなかったが,電車に乗ったら汗をかいた。

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