15分が2時間,40分が1日――捕物帖の歩き方
7,8年前には池波正太郎の「三大シリーズ」を読み,今は平岩弓枝の「御宿かわせみ」シリーズを読んでいるが,江戸を舞台にしたこうした捕物帖を読んでいると,移動手段が徒歩しかない時代の距離感がなんとなくわかってくる。(乗り物としては駕籠があるが,これも速度としては徒歩と大きく違うわけではない。)
地下鉄の1駅間は1km弱ぐらいだから徒歩なら10分,これぐらいだと現代人でも普通に歩くくらいで,捕物帖ではほんのご近所である。日本橋から大門だと駅4つで徒歩40分,このぐらいが「ひとっ走り」という感じになる。
日本橋から東海道の最初の宿場・品川までは9kmあまりで徒歩2時間,昔は東海道の旅に出る人を品川まで見送りに行くのが普通だったという。山手線の速度と比較すると,山手線で15分が徒歩2時間と「換算」できる。
横浜までだと約30kmだから徒歩6時間,もはや日帰りは不可能である。日本橋を出て最初に泊まるのは保土ヶ谷か戸塚ということが多かったというから,東海道線や中央線快速の速さで40~50分かかる所までが徒歩で1日の行程となる。例えば,「御宿かわせみ」の中の「成田詣での旅」では,成田まで街道沿いで70kmほどを,最初舟で行徳へ行き,途中船橋で泊まるという設定になっている。

