新国立劇場の『愛の妙薬』『ウェルテル』
5月後半の新国立劇場のオペラは,『愛の妙薬』と『ウェルテル』が各4回,一部は日程が入り組んで日替わりのような形で上演されている。『愛の妙薬』は2010年のプレミエ以来5回目,『ウェルテル』は2016年プレミエで今回が3回目の上演である。
喜劇と悲劇という対照をなすこの2曲を,中2日で見た。舞台装置も対照的で,『愛の妙薬』が抽象的でおもちゃ箱のように明るいのに対し,『ウェルテル』は具象的で渋い色彩。歌手はそれぞれ立派だが,特にシャルロッテ(『ウェルテル』)の脇園彩さん。
マスネのオーケストラではサクソフォンがよく使われているが,『ウェルテル』でもアルト・サックスがアリアの合いの手などで活躍していた。
以下は,2016年のプレミエのときにも書いたことだが(→参照),このウェルテルという男はどうしようもないやつで,人妻になったシャルロッテ以外は目に入らない。妹のソフィーにしておけばいいのにと誰しもが思う,と思う。これじゃ,仮に何らかの事情の変化が起きてシャルロッテと結ばれたにしても,まともな生活はできそうにない。
ヒロインのシャルロッテは8人きょうだいで,お母さんが亡くなっているのだった。しかもきょうだいでクリスマス・キャロルを歌ったりしていることもあり,第2幕で山の景色が見えたときに,ちょっと似た家庭環境の『サウンド・オブ・ミュージック』を思い出した。
上記『愛の妙薬』のときのこと,席につこうとして,いつものようにジャケットの左内側のポケットからチケットを取り出したところ,席番は2階6列33番だった。シーズンチケットはいつも1階の左右のブロックだが,今回はその日が都合が悪かったので「エクスチェンジ・サービス」を使って日を変えた。2階席なのはそのためだと勝手に納得して2階席へ行ったが,行ってみると2階正面の席は5列までしかない。
あせって係のおねえさんにチケットを見せたら,なんと「これ,他の劇場のチケットですよ」という宣告。よく見たら,2週間ほど前に行ったミュージカルのチケットだった。
ジャズ・テナー・サックスのソニー・ロリンズ氏が25日に死去,95歳。私が学生のころ,すなわち60年近く前にすでに,「サックスの巨人」だったから,新聞の訃報を見たとき,正直言って,あれ,まだ生きていたのかと思ってしまった。少し年上の同じくテナー・サックスのジョン・コルトレーンは,ずっと早く亡くなったので,よけいに混乱してしまったのかもしれない。


