ファゴットの色
初めてオーケストラのナマ演奏を聴いたのは中学生のとき,結成間もない読売日本交響楽団の演奏会だった。そのとき,見た目でいちばん驚いたのは,ファゴットが茶色だったことだった。それまでオーケストラをモノクロのテレビか写真でしか見たことがなくて,ファゴットはなんとなくグレーだと思いこんでいたのである。
当時すでに吹奏楽部に入っていたが,そこにはファゴットはもちろんなかった。(オーボエもなかったが,クラリネットの類推で,黒い木でできているのだろうと,一応正しく想像していた。)他の管楽器は吹奏楽部にあったし,ヴァイオリンは知っていたから弦楽器の色はまあわかっていた。となると,まったく見たことがなかったのは,ファゴットだけだったわけである。
その読響の演奏会のメインプロはベートーヴェンの7番だった。第1楽章の序奏で,何度もトゥッティの和音が鳴り響き,その合間に管楽器が2小節ずつ交代でソロを奏でるのと,序奏の終わりでフルートがたった一人で(実はオーボエと重なっていたのだが)弦と応答するのが印象に残った。
読響のホームページには記録のページがなくて,このときの演奏会がいつだったのかを特定できない。たぶん,結成披露の特別演奏会の一環だったのだと思う。


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