プロとアマ
いろいろな分野の中で,プロとアマの差がいちばん画然としているのは囲碁・将棋ではないかと思う。私はどちらも弱いのでプロの強さを実感できるわけではないが,アマチュアの将棋の有段者が,プロに2枚落ち(強い方が飛車・角なしのハンディを負う)でなかなか勝てないという。
将棋の場合,養成機関である「奨励会」に入会するのにアマ三,四段の力が必要で,入会すると(プロの階級の)7級になる。以後,途中にいろいろ関門があり,最終的に26歳のリーグまでに四段にならないとプロにはなれない。一方で,プロ内部の段による実力差は少なく,駒落ち(ハンデ戦)は行われない。
ゴルフにはプロテストがある。また,アマチュアも出られる大会の優勝者はプロテストを免除されるといった規定がある。
1960年代に早稲田大学のオーケストラで活躍後,プロのオーボエ奏者になって新日フィル首席などをつとめた柴山洋氏が,4月に亡くなったことを最近知った。
音楽で,アマチュアの存在がいちばん重要なのは合唱である。器楽のプレーヤーの場合はアマチュアがいなくなってもだれも困らないが,アマチュアの合唱団がないと音楽界の一部が成り立たなくなる。
オーケストラが合唱付きの大曲を演奏する機会は少なくとも東京では毎月のようにあるが,プロの合唱団では人数が足りないことがほとんどだろうし,そもそもプロの合唱団は存立が難しい。どうしても団体としての経験の蓄積のあるアマチュアの合唱団が必要になる。ヨーロッパでも,たとえばウィーン楽友協会合唱団はアマチュアである。